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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科55巻2号

2001年02月発行

文献概要

今月の臨床 妊娠中毒症—新しい視点から 関連疾患の管理

3.急性妊娠脂肪肝

著者: 安水洸彦1

所属機関: 1NTT東日本関東病院産婦人科

ページ範囲:P.178 - P.181

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基本的な疾病概念
 脂質代謝異常のため,生理的範囲を超えた脂質が肝細胞内に蓄積した状態を脂肪肝fatty liverという.生理的な肝脂質量は肝湿重量の4%以下であり,5%を超えたものを脂肪肝とする.しかし肝脂質量測定は現実では困難であるため,組織学的に「肝小葉の1/3以上の領域で,肝細胞に著明な脂肪滴の蓄積性変化を認め,その他には著明な形態学的異常を認めぬもの」を脂肪肝と定義している1).正常な肝の脂質組成は75%がリン脂質,10%がコレステロール,15%が中性脂肪である.このうちリン脂質とコレステロールはほとんどが生体膜構成成分であるので,脂肪肝は中性脂肪の増加によって生じる.
 一般に認められる脂肪肝は過栄養,肥満,飲酒などで生じる大滴性脂肪肝であり,予後は良好である.しかし,本症で紹介する急性妊娠性脂肪肝acute fatty liver of pregnancy(以下,AFLPと略)や小児に発生するReye症候群は,急速に発症する小滴性脂肪肝であり,早期治療を怠れば予後はきわめて不良である.またAFLPは胎児死亡率も高い.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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