文献詳細
症例
先天性アンチトロンビンIII欠乏症合併妊娠の1例
著者: 野村祐久1 伊藤誠1 西迫潤1 杉浦智子1 松原英孝1 千原啓1 高田亨2 石井シゲ子3
所属機関: 1聖霊病院産婦人科 2聖霊病院内科 3石井産婦人科
ページ範囲:P.208 - P.210
文献概要
症例は,32歳2経妊0経産で,妊娠27週3日に妊娠中毒症,子宮内胎児発育遅延,性器大量出血のために当院に母体搬送された.入院時AT-III活性値33.0%と異常値を認めたため,メシル酸ファモスタット,AT-III製剤を投与した.その後,妊娠中毒症が増悪したため妊娠30週4日帝王切開術を行ったが術中,術後に著変なく術後18日目に,児もNICUで順調に経過し日齢81日で無事退院した.本症例はAT-III活性値33.0%,蛋白量16.4mg/dlの先天性AT-III欠乏症タイプIと思われ,児も新生児期には活性値35.0%で本症を疑ったが,その後の検査で否定された.
掲載誌情報