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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科55巻3号

2001年03月発行

文献概要

今月の臨床 腹腔鏡下手術—知っておくべき最新情報 手技の工夫,注意点

1.吊り上げ法

著者: 井坂恵一1

所属機関: 1東京医科大学産婦人科

ページ範囲:P.257 - P.261

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はじめに
 腹腔鏡を用いた手術を行う際には,当然のことながら手術を行う視野を確保することが必須条件である.このために従来より気体(ガス)を腹腔内に注入して術野を得る気腹操作が用いられてきた.当初は空気や窒素など種々のガスが使用されたが,現在では起爆性や吸収性などの安全面に関してより優れた炭酸ガスが使用されている.しかしながら,腹腔内のガス圧上昇や炭酸ガス吸収に起因する重篤な合併症に遭遇する可能性は依然として残されている.腹壁吊り上げ法は,このような気腹による合併症を回避することを目的として考案された方法である.
 当教室では,1993年に初めて腹腔鏡下手術に吊り上げ法を導入したが,その後独自の吊り上げ方式1,2)を考案し現在に至っている.この方法は,気腹の代わりに腹壁を挙上することによって安定した術野を確保し,気腹による合併症を回避する方法であるが,手術器具の操作性やディスポーザブル製品の削減による経済性の面でも大きな利点が得られることが明らかとなった3).われわれは現在までに本法を用いて約1,000例の腹腔鏡下手術を行っており,その手技もほぼ完成したように思われる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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