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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科55巻4号

2001年04月発行

文献概要

今月の臨床 婦人科医のための乳癌検診 基礎

1.乳房の構造—マンモグラフィ,超音波で何がみえるか?

著者: 角田博子1

所属機関: 1東京都立府中病院診療放射線科

ページ範囲:P.316 - P.320

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乳房の構造
 乳房は乳腺組織とそれを支える結合組織,脂肪からなっている.乳腺組織は表皮から生じる皮膚腺の一種であり皮下脂肪内にクーパー靱帯に支えられて存在する.乳腺実質は皮膚からクーパー靭帯によって吊り下げられたような状態となっている.この構造を理解するためには,乳腺をとりまく膜構造をよく理解しておく必要がある.この膜構造については長い間その詳細が明らかでないまま理解されていたように思うが,日本乳腺甲状腺診断会議の用語・診断基準委員会小委員会により図1のような構造が明らかにされた1)
 すなわち,浅在筋膜浅層は乳頭直下で折れかえり乳腺の前縁を縁取りクーパー靱帯を形成し,皮下に広がっていく.乳腺の後縁もこれを縁取る膜で被われていて,その膜は前縁を縁取る膜と乳腺辺縁部分で癒合している.浅在筋膜深層は乳腺後隙の脂肪の中に存在し,大胸筋膜や前述した乳腺後縁を縁取る膜と緩やかに結合する.つまり,浅在筋膜の浅層,いわば中層ともいうべき構造,そして深層とが存在するというわけである(中層という用語はまだ正式に認められていないが,浅層と深層の間にあることでここでは仮に中層と呼ぶことにする.これら浅層,中層,深層は体中につづいているらしいことも判明した.また,深層はバリエーションが多く,胸筋筋膜に癒着することも少なくない.浅層と深層とは結合することはないことも判明した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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