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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科55巻5号

2001年05月発行

今月の臨床 一歩先行く超音波胎児検診

妊娠中期

2.21トリソミーの超音波マーカー

著者: 米本寿志1 吉田幸洋1

所属機関: 1順天堂大学医学部産婦人科

ページ範囲:P.598 - P.600

文献概要

はじめに
 一般に21トリソミーの児が出生する頻度は約660分娩に1例といわれている1).しかし,母体年齢が高くなるにつれその頻度は増加し,35歳以上の高齢妊婦においては約250分娩に1例の頻度で認めるといわれている2)
 従来,21トリソミーの出生前診断は,高齢妊婦をターゲットとした羊水染色体検査が唯一の方法であった.しかし,妊娠中の児が21トリソミーである場合に,母体血中のある種の物質の濃度が増減することを利用した母体血清マーカー試験によって,高齢妊婦に匹敵するハイリスク群を選別しようとする試みがなされるようになった3).このように,母体の年齢ならびに母体血清マーカー試験の結果からハイリスク群を絞り込み,羊水染色体検査を行うことで21トリソミーの出生前診断率は向上したものの,感度や特異度,適中率はそれほど高いものではないのが現状である.一般に,染色体異常を有する胎児は,それぞれ特有の形態異常を呈するものが多く,超音波検査で発見された形態異常の存在が染色体異常の発見の端緒となる場合が多い.21トリソミーの場合も,例えば先天性十二指腸閉鎖や心内膜症欠損などの先天性心疾患が子宮内で発見された場合には,まず21トリソミーの可能性を念頭に検査をすすめる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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