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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科55巻7号

2001年07月発行

今月の臨床 排卵誘発の問題点—新しい工夫と対策

排卵誘発 C.hMG-hCG

2.多胎妊娠の予防 2)FSH-GnRHパルス療法

著者: 桑原章1 苛原稔1 青野敏博2

所属機関: 1徳島大学医学部産婦人科 2徳島大学

ページ範囲:P.794 - P.795

文献概要

はじめに
 原始卵胞から排卵に至るまでの卵胞発育には約3か月間を要する.その途中で大半の卵胞は閉鎖し,卵胞期早期には卵胞(直径数 mmに発育している)数は数個から数十個に絞られる1).その後の卵胞期約10日間,主席卵胞の選択と他の卵胞閉鎖が起こる詳細な機構は未解決であるが,過剰にhMG製剤を投与すると正常月経婦人でも多数の発育卵胞が得られることから,卵胞の最終選択にゴナドトロピンが深く関与していることは明らかである.卵胞期中期以降,正常月経周期では血中FSH濃度が緩やかに減少し単一卵胞発育に適した環境が維持されるが,hMG療法中は血中FSH濃度が一定濃度以上を推移しやすく,多発排卵に至ることが多い.主席卵胞はゴナドトロピン受容体を強く発現し低濃度のゴナドトロピンに対する感受性を維持していると考えられているが,主席卵胞と他の卵胞のゴナドトロピン感受性の差はそれほど大きなものではなく,連日単回筋注による従来のhMG療法では適切なホルモン濃度を維持させることは困難であった.
 現在,不妊症治療による多胎妊娠に対して,治療法の改善による多胎妊娠の予防と減数手術の両面から注意深く検討が進められているところである2).われわれは1995年以来多胎妊娠を抑制する目的で,FSH療法にGnRH律動的投与法を組み合わせた治療法(FSH-GnRHパルス療法)の基礎的,臨床的有用性を検討してきた3,4)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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