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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科55巻8号

2001年08月発行

今月の臨床 遺伝子医療—現況と将来

出生前の遺伝子診断

4.母体血漿中胎児DNAを用いた遺伝子診断

著者: 渡邉顕1 関沢明彦1 岡井崇1

所属機関: 1昭和大学病院産科婦人科学教室

ページ範囲:P.888 - P.891

文献概要

はじめに
 近年,母体血を用いた無侵襲的な胎児遺伝子診断が注目されている.この無侵襲的な胎児遺伝子診断法は2つに大別される.1つは,母体血中に存在する胎児細胞を用いる方法である.われわれは,1996年にsingle gene disorderの1っであるDu—chenne型筋ジストロフィー(DMD)について,母体血中胎児由来有核赤血球のDNAを用いて胎児DNA診断を初めて行い報告した1).その後,Rh式血液型2,3),HLA-DQαタイピング4),ornithine transcarbamylase (OTC)欠損症5)についても同様に,母体血中胎児由来有核赤血球を用いて胎児DNA診断を行い報告した.また,胎児由来細胞にFISH法を行うことにより,Down症,13—trisomyや18—trisomyなど胎児染色体数の異常の診断も報告されている6,7).しかしながら,母体血中に存在する胎児由来細胞は数が少なく,また確実な胎児細胞回収法が確立されていない現状から,この方法の一般臨床への応用は困難である.
 無侵襲的な胎児DNA診断のもう1つの標的は,母体血漿および血清中に存在する胎児DNAである.1997年にLoらが母体血漿および血清中に胎児DNAが存在すると初めて報告した8).母体血漿および血清中の胎児由来DNA量は,母体血中胎児由来細胞の数に比べ約25倍多く存在し9),DNAの回収も容易である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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