文献詳細
今月の臨床 子宮外妊娠—新しい視点から
総論
1.疫学と最近のトピックス
著者: 林博章1 藤井哲哉1 山下剛1 中田俊之1 片山英人1 石川睦男1
所属機関: 1旭川医科大学産婦人科教室
ページ範囲:P.968 - P.972
文献概要
子宮外妊娠の頻度は過去30年間に諸外国で増加の傾向にあるが,いわゆる卵管妊娠だけでなく,近年の生殖技術の汎用に起因すると思われる間質妊娠や子宮内・外同時妊娠が増加の傾向にある.米国統計センター(NCHS)の報告では,1970年の子宮外妊娠数は17,800例で,1989年には88,400例と5倍の増加が報告された.子宮外妊娠率は4.8から16.0/妊娠千例へと約4倍増加した.
スウェーデンでは,近年子宮外妊娠の頻度が年齢別に検討すると低下してきているとの報告がある.1985〜1995年にかけて20〜39歳を対象に子宮頸管クラミジア(103,870例)と子宮外妊娠(930例,1.8%)の関係を検討した.その結果,クラミジア感染症の減少が若年者(20〜24歳)の子宮外妊娠頻度の低下と相関すると結論づけている(r=0.93,p<0.001).
掲載誌情報