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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科55巻9号

2001年09月発行

症例

頑固な便秘を伴った卵巣甲状腺腫性カルチノイドの2例

著者: 成松昭夫1 吉岡尚美1

所属機関: 1小郡第一総合病院産婦人科

ページ範囲:P.1065 - P.1069

文献概要

 卵巣原発のカルチノイドで頑固な便秘症状を呈した2症例を経験した.1例目は右卵巣茎捻転のため子宮全摘出術・両付属器切除術を施行した54歳女性.2例目は左卵巣奇形腫のため子宮全摘出術・両付属器切除術を施行した71歳女性で,2症例とも摘出卵巣の病理検査で卵巣甲状腺腫性カルチノイドと診断された.また,2症例とも術前の血液検査では,強力な腸管抑制作用のある血漿中のpeptide YY(PYY)値が異常高値を示し,術後血漿PYY値の正常化とともに術前に悩まされていた頑固な便秘が改善された.このことから,卵巣腫瘍がPYYを産生し便秘を惹起していたものと考えられた.卵巣に発生したカルチノイドは,カルチノイド症候群を呈することは稀で,本症のようにPYYを産生し頑固な便秘となる新カルチノイド症候群を呈することが多く,卵巣腫瘍と新カルチノイド症候群を認めた場合に本症を疑う必要がある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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