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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科56巻1号

2002年01月発行

今月の臨床 女性内科的アプローチ—循環器系を中心に

中高年女性の健康のケアにおける産婦人科医の役割

著者: 田中一範1 本庄英雄1

所属機関: 1京都府立医科大学婦人科

ページ範囲:P.12 - P.15

文献概要

はじめに
 女性においては,閉経前は動脈硬化の進行が進みにくいことが知られている.この現象は,女性においては閉経前,エストロゲンが脂質,あるいは血管への直接作用などを通じ,動脈硬化の進行を抑えているため起きると考えられている.ところが閉経期を過ぎると性差は序々になくなっていく.たとえば心筋梗塞による人口10万対死亡率の男女比を年齢階級毎にみると,50歳までは圧倒的に男性に多いのが女性では閉経期を境に増加し,年齢が高くなる毎に比が1に近づいていく1)(図1).海外での報告をみても,Framingham研究において,女性の心疾患による死亡は40歳代においては男性の3〜4分の1であるのに,70歳ぐらいになるとあまり差が見られない2).一方,卵巣摘出をうけた女性(45〜54歳)においては,術後年齢に依存せず,術後の時間に依存して心疾患が増加したと報告されている3).また,家族性高コレステロール血症において,女性では血清脂質レベルは同じでも心筋梗塞の発症は約20年おくれて起きることが知られている4).これらの疫学的知見および,各種臨床研究の結果から,HRTの心・血管への良好な作用が期待され,一時はアメリカの「AHAによる心血管系疾患一次予防のためのガイドライン」において,「閉経後女性,特にLDL高値などの危険因子を複数有するものには,ホルモン補充療法を考慮」と記されていたほどであった5)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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