文献詳細
今月の臨床 女性内科的アプローチ—循環器系を中心に
エストロゲンと心血管系
文献概要
閉経後の心・血管疾患とホルモン補充療法
更年期以降の低エストロゲン状態は,多彩な症状・障害を誘発するばかりではなく,長期的な視野に立つと生命予後を大きく左右する疾患,すなわち骨粗鬆症,虚血性心・血管疾患,痴呆などの発症へとつながるリスクを増大する因子となる.今日,日本女性の平均寿命が約84歳にまで延長している現状は,閉経後の低エストロゲン状態での生活が人生の約3分の1を占めることを意味しており,この時期の生活の質(QOL)を維持し,高める方策が強く求められている.このようなニーズに応える方法の一つとして閉経後に欠落するエストロゲンの補充を目的としたホルモン補充療法(hormone replacement therapy:HRT)が開発され,今日欧米を中心に広く実地臨床で用いられるようになっている1).しかし,近年報告された大規模臨床試験において,閉経後女性の循環器疾患の一次・二次予防におけるHRTの効果を見直すべきとの指摘がなされている.本稿では,その主な大規模臨床試験を紹介し,これらの問題点の検討を試みたい.
更年期以降の低エストロゲン状態は,多彩な症状・障害を誘発するばかりではなく,長期的な視野に立つと生命予後を大きく左右する疾患,すなわち骨粗鬆症,虚血性心・血管疾患,痴呆などの発症へとつながるリスクを増大する因子となる.今日,日本女性の平均寿命が約84歳にまで延長している現状は,閉経後の低エストロゲン状態での生活が人生の約3分の1を占めることを意味しており,この時期の生活の質(QOL)を維持し,高める方策が強く求められている.このようなニーズに応える方法の一つとして閉経後に欠落するエストロゲンの補充を目的としたホルモン補充療法(hormone replacement therapy:HRT)が開発され,今日欧米を中心に広く実地臨床で用いられるようになっている1).しかし,近年報告された大規模臨床試験において,閉経後女性の循環器疾患の一次・二次予防におけるHRTの効果を見直すべきとの指摘がなされている.本稿では,その主な大規模臨床試験を紹介し,これらの問題点の検討を試みたい.
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