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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科56巻4号

2002年04月発行

文献概要

今月の臨床 産婦人科手術における合併症管理のすべて II 産科の手術・処置 3.分娩の手術・処置

2.頸管裂傷・子宮破裂の修復術

著者: 光田信明1 清水彰子1

所属機関: 1りんくう総合医療センター市立泉佐野病院産婦人科

ページ範囲:P.496 - P.499

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はじめに
 頸管裂傷は分娩中に子宮頸部が縦に裂けるものである.分娩中から分娩後の子宮出血の代表的なものの1つである.閉じていた頸管が分娩の進行とともに展退し,開大していく過程で大なり小なり傷はできる.そのうち臨床的に出血量の多い裂傷が治療の対象となる.視認可能な頸管のみのものから腟粘膜にまで裂傷が進展しているものまであるが,一般には3時,9時方向が多い.稀には内子宮口を超えて子宮破裂にまで至る例もある.早急に診断をつけて裂傷範囲を把握したあとに縫合にとりかかる.産科を扱う施設では珍しくはなく,一般的によく遭遇する裂傷である.したがって,経験すれば習熟しやすい手技の1つである.
 子宮破裂は現代においては多くなりつつある.原因は帝王切開率の上昇とその後の経腟分娩(vaginal birth after cesarean section:VBAC)の増加である.VBAC中の子宮破裂は二百分の一程度である.次にはオキシトシンをはじめとする分娩誘発剤の不適切な使用である.子宮破裂はひとたび発症すれば母児に与える影響は重大なものがあることは自明である.子宮破裂を保存的に修復できるものか,子宮摘出に至るのかを短時問で判断し,決断することが要求される.ところが,子宮破裂は突発的に発生し,その頻度はおそらく数千分の1である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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