文献詳細
今月の臨床 ここまでわかる産婦人科のMRI
産婦人科領域におけるMRIの有用性
著者: 堀雅敏1 村上卓道1 中村仁信1
所属機関: 1大阪大学大学院医学系研究科医用制御工学講座(放射線医学)
ページ範囲:P.612 - P.615
文献概要
磁気共鳴画像(magnetic resonance imaging:MRI)は,核磁気共鳴(nuclear magnetic reso—nance:NMR)現象を応用した画像化技術である.臨床に用いられているMRIは,その大部分が体内に豊富に存在する水素原子核のNMRを利用している.外部から水素原子の原子核に磁場を加えると,原子核の持つエネルギーレベルが2つに分離する.このエネルギーレベル差は,加える磁場の強度に比例する.こうした状態の原子核に,このレベル差に一致するエネルギーを持ったラジオ波(電波)を加えると,原子核はラジオ波のエネルギーを吸収する.ラジオ波の持つエネルギーはその周波数に比例する.現在,臨床で一般に用いられている高磁場装置では,外部から加える静磁場が1.5T(テスラ)であるが,このエネルギー差に相当するエネルギーを持ったラジオ波の周波数は約64MHzである.原子核がエネルギーを吸収した後,ラジオ波が切れると,吸収されていたエネルギーはラジオ波の形で外部へ放出される.これがNMRである. NMR信号の出方は原子核周囲の環境に影響される.これは,生体内では筋肉,脂肪,血液などの組織により,違った形で信号が出てくることを意味する.
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