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今月の臨床 多胎妊娠管理—レベルアップのために 双胎間輸血症候群の診断と管理
6.治療の実際
著者: 清河康1 田中守1 吉村泰典1
所属機関: 1慶應義塾大学医学部産婦人科
ページ範囲:P.762 - P.764
文献購入ページに移動双胎間輸血症候群(twin-to-twin transfusionsyndrome:TTTS)は,一絨毛膜性双胎の約15〜35%に発症する予後不良な疾患で,その周産期死亡率は70〜80%とされている1).一絨毛膜性双胎では常に胎盤上の血管吻合が存在し,何らかの理由により双胎間の血流量のアンバランスが生じることでTTTSを発症する.双胎の受血児は多血,多尿,羊水過多,心不全を呈し,供血児は貧血,乏尿,羊水過少を呈し,重症例ではいわゆる“stuck twin”の状態となる2).無治療例では,受血児において急速に進行する羊水過多とそれに伴う前期破水・流早産が発生したり,心不全に伴う子宮内胎児死亡が発生するため予後不良となっている2).TTTSの胎内治療法でコンセンサスが得られた方法はないが,胎盤血管レーザー凝固術法は,1990年のDe Liaら3)の報告以降10年以上を経て海外において相当数の治療症例を積み重ね,一定の評価を得てきている2).そこで本稿では現時点でのTTTSの胎内治療法とその成績について,最近のデータを基に概説する.
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