icon fsr

雑誌目次

雑誌文献

臨床婦人科産科56巻7号

2002年07月発行

雑誌目次

今月の臨床 頸管無力症と頸管縫縮術

頸管無力症の病態と定義

著者: 森川肇 ,   寺西明子

ページ範囲:P.836 - P.839

はじめに
 医療技術や医療機器の進歩に伴い,未熟児や低出生体重児を救命できるようになったが,何らかの障害を残す率が高いので,可能なかぎり妊娠末期まで妊娠を維持することが望まれる.したがって,流早産の徴候を早期に診断し,治療するばかりでなく,予知や予防が産科医にとって重要な課題となっている.頸管無力症は妊娠中期にみられる習慣流早産の原因の一つであるが,ほとんど症状のないまま頸管の開大が進行するために,処置が遅れて流早産に至ることが多い.

頸管無力症の最近の考え方

著者: 金山尚裕

ページ範囲:P.840 - P.843

はじめに
 頸管無力症は妊娠中期に流産・早産を引き起こす主要な疾患のひとつである.頸管無力症は超未熟児出生を防止する観点から注視すべき疾患である.しかしその原因や病態に対しての研究は少なく,また治療法は頸管縫縮術が主体になるが,その適応や時期に関しても議論が分かれている.頸管無力症の発生頻度は0.05〜1%前後である1).妊娠中期の切迫早産と鑑別が難しい場合がある.経産婦では既往妊娠歴から予想がつくが,前回正常妊娠例や初産例では妊娠中期の4週間毎の妊婦検診では手遅れになることがあり,経腟超音波による早期診断が検討されている.

標準的頸管縫縮術の術式と選択

著者: 安田允 ,   種元智洋 ,   堀江裕美子 ,   三沢裕子

ページ範囲:P.862 - P.867

はじめに
 頸管無力症は流早産の原因の一つで,古くは妊娠中期に明らかな原因がなく,無症状に子宮頸管が展退・開大し流単産へ進行する疾患とされていたが,最近ではいわゆる早期頸管熟化症の一つであると認識されている.
 本疾患の診断基準は定まっていないが,内診所見,既往症,経腟超音波所見を併用することが大切である.また原因の一つに絨毛膜羊膜炎や頸管炎などの感染が予後因子となるため,感染症や子宮収縮の抑制などの術前・術後の管理は大切となる.

頸管縫縮術に伴う合併症と対策

著者: 竹田善治 ,   坂井昌人 ,   中山摂子 ,   中林正雄

ページ範囲:P.869 - P.871

はじめに
 頸管縫縮術は早産の予防として大きな効果を持つ手術である.しかし時として手術に伴う合併症のため破水など思わぬ結果を招くことがある.やむを得ない合併症もあるが,術前後の慎重な対応によりある程度予防が可能なものもある.頸管縫縮術としてマクドナルド法とシロッカー法の二つが主に行われているが,ここでは比較的手術侵襲の大きいシロッカー法を中心に,起こりうる合併症とその対策について述べる.

頸管無力症の診断

1.頸管無力症の診断の要点

著者: 牧野康男 ,   福岡三代子 ,   瓦林達比古

ページ範囲:P.845 - P.847

はじめに
 頸管無力症は妊娠16週頃以後にみられる習慣流早産の原因の一つで,外出血や子宮収縮などの切迫流早産徴候を自覚しないにもかかわらず子宮口が開大し,胎胞が形成されてくる状態である1).既往分娩時に受けた陳旧性頸管裂傷や,先天的な頸部組織の異常により,妊娠中期以後になると妊娠が維持できなくなり,頸管が開大し,続いて胎胞が膨隆し,流早産へと進行する1).したがって,初期ならば頸管縫縮術により未然に流早産を防止することができることからも,頸管無力症を早期に診断することが重要となる.特に早産の予知の観点から,症状や訴えがなくとも妊娠20週,24週,28週では内診し,腟炎,頸管炎の有無のチェックと同時に経腟超音波検査で頸管長の計測を行うことが望ましい2)
 本稿では,経腟超音波断層法による頸管無力症の診断については他稿で詳細が述べられているので,主に超音波検査以外の観点から,頸管無力症の診断について解説する.

2.経腟超音波による診断

著者: 深見武彦 ,   石原楷輔

ページ範囲:P.848 - P.852

はじめに
 頸管無力症は,古典的には内診で「妊娠中期に明確な子宮収縮の自覚がなく,内子宮口が2cm以上開大した状態」と定義された.通常,本症の病態の進行は急激で,最終的には胎胞膨隆,破水となり流早産に至る.しかし内診では外子宮口が閉鎖している場合は内子宮口の評価ができず,初期病態である内子宮口の開大の所見を診断できず,病態が進行し胎胞膨隆や破水が発生した時点で診断されることが多かった.しかし,経腟超音波の登場によって,内診では不可能であった本症の初期病態である内子宮口の開大と頸管長の短縮を診断できるようになり1,2),これにより本症の治療介入が著しく早期になった.このことは早期早産の防止に大いに貢献することとなった.そこで本稿では経腟超音波による頸管無力症の典型的所見を解説し,また診断に際しての注意事項を述べてみたい.

頸管縫縮術の適応と問題点

1.頸管無力症における適応

著者: 妹尾大作 ,   秦利之

ページ範囲:P.854 - P.857

はじめに
 頸管無力症は妊娠中期の流早産の主な原因のひとつであるが,その好発時期は妊娠20〜22週前後と比較的早く,子宮収縮や下腹部痛などの明らかな症状を伴わないで進行することを特徴とする.したがって,経腟超音波断層法が開発される以前は,内診や経腹超音波断層法での早期発見が困難で,内診による子宮口の開大所見や視診による胎胞膨隆所見によってはじめて診断されることがほとんどであり,頸管縫縮術も本症を含めた妊娠中期の流早産既往例に対して行われる予防的縫縮術と,頸管開大例に対して行われる治療的縫縮術しかなかった.
 しかしながら,近年では経腟超音波法の普及により,内診によって頸管の開大が認められるようになる以前に本症を診断し得るようになり,早期発見による予防的頸管縫縮術が可能となった.本稿では,頸管無力症の管理における頸管縫縮術の適応について解説する.

2.円錐切除術後妊娠における適応と問題点

著者: 岩田卓 ,   塚崎克己 ,   久布白兼行 ,   野澤志朗

ページ範囲:P.858 - P.861

はじめに
 子宮頸癌集団検診が普及したことによって,子宮頸癌のなかで上皮内癌・微小浸潤癌といった初期癌の占める割合が増し,また,前癌病変である異形成の症例も増加している.一方,近年女性の出産年齢の上昇傾向が指摘され,妊孕性温存を必要とする子宮頸癌患者が増加している.妊孕性温存を目的とした術式として,従来より高度異形成までの病変であればレーザー蒸散術が広く行われており,また,上皮内癌の場合にはレーザー円錐切除術が施行されてきた.われわれは間質内浸潤を認める微小浸潤扁平上皮癌のうち,間質浸潤が3mm以内であり縦軸方向の幅が7mm以内の症例,すなわち子宮頸癌Ial期の症例についても,妊孕性温存が必要な症例では円錐切除術による子宮温存療法を行っているが,レーザー円錐切除術の症例数は全体として増加傾向にある.これに伴って,術後の妊娠例をしばしば経験し,さらに今後とも増加するものと予想される.
 しかし,妊娠中に円錐切除術を行った症例の妊娠予後の報告が多くされているのに比して,術後に妊娠した症例の妊娠予後に及ぼす影響の有無についての報告は多くない.これは,やはり追跡調査の困難さに起因しているものと考えられる.

胎胞突出例での頸管縫縮術—私の工夫

1.腰弱鉗子と綿球による胎胞還納—大宮赤十字病院

著者: 中村学 ,   安藤昭彦

ページ範囲:P.872 - P.875

はじめに
 妊娠中期胎胞膨隆例に対する治療として,最近はウリナスタチン腟洗浄を中心とした保存的治療が増えつつあるが,頸管縫縮術は今もって有効とされる治療法のひとつであると考えている.しかし,予防的な子宮頸管縫縮術とは違い,胎胞形成例の頸管縫縮を破水させずに手術を成功させるには細心の注意といくつかのコツがある.本稿では,当院での考えを紹介させていただく.

2.特に胎胞還納方法としての膀胱充満法について—新潟市民病院

著者: 花岡仁一 ,   徳永昭輝 ,   竹内裕 ,   柳瀬徹

ページ範囲:P.877 - P.879

はじめに
 胎胞突出例での頸管縫縮術における手術手技上の要点は,どのように子宮腟部を把持し,破水させることなく胎胞を還納し,有効な縫縮を行うかという点にある.
 この点に関して,われわれが行っている方法やその治療成績については既に述べてきたが1〜3),本稿では,あらためて手術手技上の要点,特に胎胞還納方法としての膀胱充満法4)について具体的に述べる.

3.Shirodkar手術遂行のための工夫—社会保険広島市民病院

著者: 大本裕之 ,   吉田信隆

ページ範囲:P.880 - P.885

はじめに
 未熟児医療の進歩は児の生育限界を著明に改善したが,いまだその臨床成績は十分とは言いがたい.産科医は新しい知見に基づき,妊娠継続を図りながらより健全に成熟した児を母親ないし新生児医療に送り渡すことが責務である.当科における検討では,腟内胎胞脱出は妊娠22週から26週までの早産原因の29.5%1)を占めており,その発症予防と不幸にして発生した場合の妊娠継続期間の延長は産科領域における重要な課題である.われわれは妊娠継続に対して,緊急頸管縫縮術による手術療法が保存的療法に比べて有用である2)と報告し,術式は治療効果のより高いShirodkar法を原則的に施行して3,4),予後の改善を図っている.本稿では,展退,菲薄化した頸管ではMcDonald法に比べて技術的に困難と考えられやすいShirodkar法の遂行のために,われわれが行っている手術法について述べる.

頸管無力症患者管理の実際

1.当院における頸管無力症(胎胞突出)患者への対処—獨協医科大学

著者: 石川和明 ,   渡辺博 ,   稲葉憲之

ページ範囲:P.887 - P.889

はじめに
 頸管無力症は,早産に結びつく原因の一つである.しかしその早期発見は困難であり,さらにひとたび胎胞が出現した場合にはその対処と治療が困難となる.本稿では,当院における頸管無力症患者のスクリーニングとその対処,また診断後の治療を胎胞突出例を中心にまとめてみた.

2.当センターでの頸管無力症患者管理と治療成績—埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センター

著者: 河村隆一 ,   竹田省 ,   松村英祥

ページ範囲:P.891 - P.895

はじめに
 妊娠中期での自然流産の主たる原因は頸管無力症,前期破水,胎児・胎盤の異常,胎児死亡などであるが1),そのうち頸管無力症は妊婦管理により流早産予防が可能であるだけに周産期管理上その診断,治療は重要である2〜4).頸管無力症の発生頻度は0.05〜1%前後であり,20〜22週前後に発症することが多い5).前回の妊娠,分娩経過からその診断がついていたり,疑われる症例は予防的頸管縫縮術により治療可能であるが,初産例や前回正常産例でも発症することがあり,妊娠中期の3〜4週毎の定期検診ではその診断が遅れることも多い.したがってこのような場合,どのようにして早期に診断し,対処するか.また子宮口が開大し卵膜が見られるものや,胎胞が腟内に膨隆している症例ではどのように管理すべきかが問題と思われる.
 本稿では,術前・術後の管理,手術時期など当センターでの頸管無力症管理方針およびその治療成績を述べるとともに,今後の問題点にも言及する.

3.当院における頸管縫縮術の予後に影響する因子について—兵庫県立こども病院周産期医療センター

著者: 大橋正伸

ページ範囲:P.896 - P.899

はじめに
 頸管無力症とは出血,陣痛などの切迫流早産徴候を自覚しないにもかかわらず子宮口が開大し,胎胞が形成されてくる状態とされ,流早産の主な原因のひとつである.本疾患の診断はおよそ内診所見で子宮口が1指開大した状態とするものであったが,近年,経腟超音波断層法の普及にともなって,妊娠初期より頸管の詳細な観察をすることで本疾患を早期に診断し,頸管開大の前に予防的頸管縫縮術を行うことが可能となった1〜3).本症は子宮頸部付近の筋線維やコラーゲンの異常と考えられており,子宮頸部の先天的な異常,後天的損傷,早期頸管熟化などを原因とする.比較的急速に進行することがあり,妊娠前期検診を1か月に1回の間隔で行っているため,その発見が遅れがちになる.したがって,流早産,頸管無力症,頸管裂傷,円錐切除術などの既往歴のあるものを選別し,15週頃より経腟超音波断層法を頻回に繰り返すことが肝要になる.
 ところが頸管炎や絨毛膜羊膜炎などによって引き起こされる切迫流早産も頸管無力症と類似の頸管の形態的変化を示すことがあるため,とくに子宮収縮が極めて軽度である場合には絨毛膜羊膜炎の診断なしに,頸管の形態的変化のみで,頸管無力症と実地臨床的にはひとまとめに扱われてきたことが多いのではないかと考えられる.したがって本症の診断に際しては,かならず頸管炎や絨毛膜羊膜炎に対する検査も併せて行わねばならない.

連載 カラーグラフ 知っていると役立つ婦人科病理・37

What is your diagnosis?

著者: 伴慎一 ,   清水道生

ページ範囲:P.833 - P.835

症例:52歳,女性
 2回経妊,2回経産.過多月経,貧血を主訴に来院.子宮筋腫の診断で単純子宮全摘術が施行された.Fig 1,2は,摘出された子宮の病理組織学的検索時に内頸部に認められた病変の組織像(HE染色)である.
 1.Fig 1(弱拡大),Fig 2(強拡大)から考えられる病変は何か.

病院めぐり

高山赤十字病院

著者: 脇田勝次

ページ範囲:P.902 - P.902

 岐阜県の北部は古来より「飛騨」と呼ばれており,現在は1市3郡で構成され人口は約17万人です.周囲を山々に囲まれた盆地であり,特に東方には穂高連峰・槍ヶ岳をはじめとする北アルプスや,乗鞍岳,御岳などの3,000メートル級の霊峰が連なっています.江戸時代には幕府の直轄地,すなわち天領であった高山市は「小京都」とも称されており,春と秋の年2回行われる「高山祭」は日本三大祭の1つにも数えられています.
 この高山市の南西部に位置する高山赤十字病院は,病床数540床,診療科17科,医師数63名で僻地中核病院・臨床研修指定病院の指定を受けています.また救急救命センター,介護老人保健施設,看護専門学校を併せ持つ飛騨地域唯一の公的基幹病院として,5個班の救護班を結成し,災害時に迅速に出動できる体制を整えています.7年前の阪神大震災時の出動は記憶に新しいところです.

三重県立総合医療センター

著者: 鈴木宏志

ページ範囲:P.903 - P.903

 昭和23年に旧海軍燃料廠病院を継承した三重県立医学専門学校・三重県立医科大学附属塩浜病院は,学制改革などによる幾度かの変遷を経て昭和49年に三重県立総合塩浜病院となり,平成6年には四日市市日永の丘陵地帯に新設された三重県立総合医療センターに機能が引き継がれました.病床数は446床で,一般病床412床,感染病床4床,救命救急医療センター30床の構成です.19診療科からなる総合病院として地域の急性期医療を担当しており,平成6年には臨床研修指定病院に指定されています.平成10年に制定された病院の基本的理念は「患者の人権を尊重する医療を追求する」,「県民と地域の信頼を得る医療を追求する」,「常に時代や環境を先取りし,求められるサービスを実践する」とされています.
 産科・婦人科の定数は常勤医5名です.病床数は病床の一元管理が行われているため定数としてはありませんが,3階東病棟(NICU 10床を含む48床)と3階西病棟(52床)を産婦人科,小児・女性病棟として運用しています.

OBSTETRIC NEWS

カラードップラーによる羊水量測定

著者: 武久徹

ページ範囲:P.905 - P.905

 羊水量測定が妊娠および分娩管理にルチーンに採用されるようになってから約15年が経過している.普及に伴ってほかに異常がない場合の羊水過少症の取り扱い,羊水指数(AFI)を採用した場合のカットオフは5cmで適切か,AFIによって診断した羊水過少症は真に分娩前および分娩中の胎児および妊娠予後不良と関連があるのかなどの幾つかの問題が発生している.AFIは臍帯および胎児小部分を含まない羊水ポケットの総和によって計算される.したがって,臍帯が描出されるカラードップラーを使用すると計測値の正確度はグレイスケールの超音波を採用し計測した値よりも信頼度は高そうである.
 Bukowskiら(テキサス大学ガルベストン校)は,カラードップラー(CD)を使って計測したAFIによる羊水過少症は,グレイスケール(GS)の超音波によって計測したAFIによる羊水過少症と同様に扱ってよいのかどうかを検討した.

最新の手術器械を使いこなす・3

ベッセルシーリングシステム

著者: 伊東宏絵 ,   井坂恵一

ページ範囲:P.907 - P.913

 ベッセルシーリングシステムは,バイポーラ電流にインズタントレスポンス機能と呼ばれるコンピューターフィードバック技術を採用し,出力を自動調節しながら血管壁内のコラーゲンや結合組織を均一に融合する.血管の内腔を完全に一体化することで血流を遮断し,安全で確実に止血することができる,新しい発想から生まれた止血装置である.
 産婦人科領域においては,開腹手術および腹腔鏡下手術においてこのLigaSureTM Systemを使用することにより靱帯や血管の処理を容易に行えるため,手術の簡易化ならびに手術時間の大幅な短縮に貢献できるものと期待きれる.

原著

水腎症により血清CA19-9が高値を示した子宮頸癌の1例—血清および尿中CA19-9上昇の機序について

著者: 鈴木一実 ,   菅谷泰宏 ,   丸山正次

ページ範囲:P.915 - P.918

 症例は81歳,女性.発熱を主訴に外来を受診した.精査にて左水腎症を伴う急性腎盂腎炎と診断された.入院時,ほかの腫瘍マーカーは基準値以内であったが,血清CA19-9値の上昇(58U/ml)を認めた.保存的治療が奏効しないため,左腎瘻造設術を施行した.術後4週時,血清CA19-9値は正常化した(9U/ml).また,腎瘻造設術時の左腎盂尿中CA19-9値も高値を示し(8,000U/ml),術後10週時には著減した(546U/ml).最終的に左水腎症の原因は進行性子宮頸癌であった.
 婦人科領域において良性疾患を含め,血清CA19-9値が高値を示すことはたびたびある.自験例は血清および尿中CA19-9値の推移より,水腎症によりCA19-9が上昇したものと考えられた.婦人科疾患に水腎症を合併することは稀ではなく,疾患のスクリーニングやモニタリングにおいて,血清CA19-9の測定には注意を払う必要があるものと考えられた.

総説

系統的リンパ節郭清術の意義—センチネルリンパ節概念

著者: 林博章 ,   藤井哲哉 ,   山下剛 ,   石川睦男

ページ範囲:P.919 - P.926

 現時点では臨床の現状と想定される臨床試験の困難性を加味するかぎり,リンパ節郭清の治療効果を立証する臨床試験を行うことがきわめて困難であり,現実的な対処としては,必要なものに対するリンパ節郭清術をいかに行うかを検討すべきである.現在、欧米で乳癌,悪性黒色腫に行われているセンチネルリンパ節の概念(TNM supplement 2000:The sentinel lymphnode is the first lymph node to receive the lym—phatic drainage from primary tumour.If it con—tains metastatic tumour this indicates the otherlymph node may contain tumour.If dose notcontain metastatic tumour, other lymph nodesare not likely to contain tumour.Occasionally,there is more than one sentinel lymph node)を取り込むことも婦人科悪性腫瘍治療の個別化の観点からの1つの選択肢であろう.そこで,センチネルリンパ節の概念が婦人科悪性腫瘍手術にどのように取り入れることができるかについて検証する.

基本情報

臨床婦人科産科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1294

印刷版ISSN 0386-9865

雑誌購入ページに移動

バックナンバー

76巻12号(2022年12月発行)

今月の臨床 帝王切開分娩のすべて―この1冊でわかるNew Normal Standard

76巻11号(2022年11月発行)

今月の臨床 生殖医療の安全性―どんなリスクと留意点があるのか?

76巻10号(2022年10月発行)

今月の臨床 女性医学から読み解くメタボリック症候群―専門医のための必須知識

76巻9号(2022年9月発行)

今月の臨床 胎児発育のすべて―FGRから巨大児まで

76巻8号(2022年8月発行)

今月の臨床 HPVワクチン勧奨再開―いま知りたいことのすべて

76巻7号(2022年7月発行)

今月の臨床 子宮内膜症の最新知識―この1冊で重要ポイントを網羅する

76巻6号(2022年6月発行)

今月の臨床 生殖医療・周産期にかかわる法と倫理―親子関係・医療制度・虐待をめぐって

76巻5号(2022年5月発行)

今月の臨床 妊娠時の栄養とマイナートラブル豆知識―妊娠生活を快適に過ごすアドバイス

76巻4号(2022年4月発行)

増刊号 最新の不妊診療がわかる!―生殖補助医療を中心とした新たな治療体系

76巻3号(2022年4月発行)

今月の臨床 がん遺伝子検査に基づく婦人科がん治療―最前線のレジメン選択法を理解する

76巻2号(2022年3月発行)

今月の臨床 妊娠初期の経過異常とその対処―流産・異所性妊娠・絨毛性疾患の診断と治療

76巻1号(2022年1月発行)

合併増大号 今月の臨床 産婦人科医が知っておきたい臨床遺伝学のすべて

75巻12号(2021年12月発行)

今月の臨床 プレコンセプションケアにどう取り組むか―いつ,誰に,何をする?

75巻11号(2021年11月発行)

今月の臨床 月経異常に対するホルモン療法を極める!―最新エビデンスと処方の実際

75巻10号(2021年10月発行)

今月の臨床 産科手術を極める(Ⅱ)―分娩時・産褥期の処置・手術

75巻9号(2021年9月発行)

今月の臨床 産科手術を極める(Ⅰ)―妊娠中の処置・手術

75巻8号(2021年8月発行)

今月の臨床 エキスパートに聞く 耐性菌と院内感染―産婦人科医に必要な基礎知識

75巻7号(2021年7月発行)

今月の臨床 専攻医必携! 術中・術後トラブル対処法―予期せぬ合併症で慌てないために

75巻6号(2021年6月発行)

今月の臨床 大規模災害時の周産期医療―災害に負けない準備と対応

75巻5号(2021年5月発行)

今月の臨床 頸管熟化と子宮収縮の徹底理解!―安全な分娩誘発・計画分娩のために

75巻4号(2021年4月発行)

増刊号 産婦人科患者説明ガイド―納得・満足を引き出すために

75巻3号(2021年4月発行)

今月の臨床 女性のライフステージごとのホルモン療法―この1冊ですべてを網羅する

75巻2号(2021年3月発行)

今月の臨床 妊娠・分娩時の薬物治療―最新の使い方は? 留意点は?

75巻1号(2021年1月発行)

合併増大号 今月の臨床 生殖医療の基礎知識アップデート―患者説明に役立つ最新エビデンス・最新データ

74巻12号(2020年12月発行)

今月の臨床 着床環境の改善はどこまで可能か?―エキスパートに聞く最新研究と具体的対処法

74巻11号(2020年11月発行)

今月の臨床 論文作成の戦略―アクセプトを勝ちとるために

74巻10号(2020年10月発行)

今月の臨床 胎盤・臍帯・羊水異常の徹底理解―病態から診断・治療まで

74巻9号(2020年9月発行)

今月の臨床 産婦人科医に最低限必要な正期産新生児管理の最新知識(Ⅱ)―母体合併症の影響は? 新生児スクリーニングはどうする?

74巻8号(2020年8月発行)

今月の臨床 産婦人科医に最低限必要な正期産新生児管理の最新知識(Ⅰ)―どんなときに小児科の応援を呼ぶ?

74巻7号(2020年7月発行)

今月の臨床 若年女性診療の「こんなとき」どうする?―多彩でデリケートな健康課題への処方箋

74巻6号(2020年6月発行)

今月の臨床 外来でみる子宮内膜症診療―患者特性に応じた管理・投薬のコツ

74巻5号(2020年5月発行)

今月の臨床 エコチル調査から見えてきた周産期の新たなリスク要因

74巻4号(2020年4月発行)

増刊号 産婦人科処方のすべて2020―症例に応じた実践マニュアル

74巻3号(2020年4月発行)

今月の臨床 徹底解説! 卵巣がんの最新治療―複雑化する治療を整理する

74巻2号(2020年3月発行)

今月の臨床 はじめての情報検索―知りたいことの探し方・最新データの活かし方

74巻1号(2020年1月発行)

合併増大号 今月の臨床 周産期超音波検査バイブル―エキスパートに学ぶ技術と知識のエッセンス

73巻12号(2019年12月発行)

今月の臨床 産婦人科領域で話題の新技術―時代の潮流に乗り遅れないための羅針盤

73巻11号(2019年11月発行)

今月の臨床 基本手術手技の習得・指導ガイダンス―専攻医修了要件をどのように満たすか?〈特別付録web動画〉

73巻10号(2019年10月発行)

今月の臨床 進化する子宮筋腫診療―診断から最新治療・合併症まで

73巻9号(2019年9月発行)

今月の臨床 産科危機的出血のベストマネジメント―知っておくべき最新の対応策

73巻8号(2019年8月発行)

今月の臨床 産婦人科で漢方を使いこなす!―漢方診療の新しい潮流をふまえて

73巻7号(2019年7月発行)

今月の臨床 卵巣刺激・排卵誘発のすべて―どんな症例に,どのように行うのか

73巻6号(2019年6月発行)

今月の臨床 多胎管理のここがポイント―TTTSとその周辺

73巻5号(2019年5月発行)

今月の臨床 妊婦の腫瘍性疾患の管理―見つけたらどう対応するか

73巻4号(2019年4月発行)

増刊号 産婦人科救急・当直対応マニュアル

73巻3号(2019年4月発行)

今月の臨床 いまさら聞けない 体外受精法と胚培養の基礎知識

73巻2号(2019年3月発行)

今月の臨床 NIPT新時代の幕開け―検査の実際と将来展望

73巻1号(2019年1月発行)

合併増大号 今月の臨床 エキスパートに学ぶ 女性骨盤底疾患のすべて

72巻12号(2018年12月発行)

今月の臨床 女性のアンチエイジング─老化のメカニズムから予防・対処法まで

72巻11号(2018年11月発行)

今月の臨床 男性不妊アップデート─ARTをする前に知っておきたい基礎知識

72巻10号(2018年10月発行)

今月の臨床 糖代謝異常合併妊娠のベストマネジメント─成因から管理法,母児の予後まで

72巻9号(2018年9月発行)

今月の臨床 症例検討会で突っ込まれないための“実践的”婦人科画像の読み方

72巻8号(2018年8月発行)

今月の臨床 スペシャリストに聞く 産婦人科でのアレルギー対応法

72巻7号(2018年7月発行)

今月の臨床 完全マスター! 妊娠高血圧症候群─PIHからHDPへ

72巻6号(2018年6月発行)

今月の臨床 がん免疫療法の新展開─「知らない」ではすまない今のトレンド

72巻5号(2018年5月発行)

今月の臨床 精子・卵子保存法の現在─「産む」選択肢をあきらめないために

72巻4号(2018年4月発行)

増刊号 産婦人科外来パーフェクトガイド─いまのトレンドを逃さずチェック!

72巻3号(2018年4月発行)

今月の臨床 ここが知りたい! 早産の予知・予防の最前線

72巻2号(2018年3月発行)

今月の臨床 ホルモン補充療法ベストプラクティス─いつから始める? いつまで続ける? 何に注意する?

72巻1号(2018年1月発行)

合併増大号 今月の臨床 産婦人科感染症の診断・管理─その秘訣とピットフォール

71巻12号(2017年12月発行)

今月の臨床 あなたと患者を守る! 産婦人科診療に必要な法律・訴訟の知識

71巻11号(2017年11月発行)

今月の臨床 遺伝子診療の最前線─着床前,胎児から婦人科がんまで

71巻10号(2017年10月発行)

今月の臨床 最新! 婦人科がん薬物療法─化学療法薬から分子標的薬・免疫療法薬まで

71巻9号(2017年9月発行)

今月の臨床 着床不全・流産をいかに防ぐか─PGS時代の不妊・不育症診療ストラテジー

71巻8号(2017年8月発行)

今月の臨床 「産婦人科診療ガイドライン─産科編 2017」の新規項目と改正点

71巻7号(2017年7月発行)

今月の臨床 若年女性のスポーツ障害へのトータルヘルスケア─こんなときどうする?

71巻6号(2017年6月発行)

今月の臨床 周産期メンタルヘルスケアの最前線─ハイリスク妊産婦管理加算を見据えた対応をめざして

71巻5号(2017年5月発行)

今月の臨床 万能幹細胞・幹細胞とゲノム編集─再生医療の進歩が医療を変える

71巻4号(2017年4月発行)

増刊号 産婦人科画像診断トレーニング─この所見をどう読むか?

71巻3号(2017年4月発行)

今月の臨床 婦人科がん低侵襲治療の現状と展望〈特別付録web動画〉

71巻2号(2017年3月発行)

今月の臨床 産科麻酔パーフェクトガイド

71巻1号(2017年1月発行)

合併増大号 今月の臨床 性ステロイドホルモン研究の最前線と臨床応用

69巻12号(2015年12月発行)

今月の臨床 婦人科がん診療を支えるトータルマネジメント─各領域のエキスパートに聞く

69巻11号(2015年11月発行)

今月の臨床 婦人科腹腔鏡手術の進歩と“落とし穴”

69巻10号(2015年10月発行)

今月の臨床 婦人科疾患の妊娠・産褥期マネジメント

69巻9号(2015年9月発行)

今月の臨床 がん妊孕性温存治療の適応と注意点─腫瘍学と生殖医学の接点

69巻8号(2015年8月発行)

今月の臨床 体外受精治療の行方─問題点と将来展望

69巻7号(2015年7月発行)

今月の臨床 専攻医必読─基礎から学ぶ周産期超音波診断のポイント

69巻6号(2015年6月発行)

今月の臨床 産婦人科医必読─乳がん予防と検診Up to date

69巻5号(2015年5月発行)

今月の臨床 月経異常・不妊症の診断力を磨く

69巻4号(2015年4月発行)

増刊号 妊婦健診のすべて─週数別・大事なことを見逃さないためのチェックポイント

69巻3号(2015年4月発行)

今月の臨床 早産の予知・予防の新たな展開

69巻2号(2015年3月発行)

今月の臨床 総合診療における産婦人科医の役割─あらゆるライフステージにある女性へのヘルスケア

69巻1号(2015年1月発行)

今月の臨床 ゲノム時代の婦人科がん診療を展望する─がんの個性に応じたpersonalizationへの道

icon up
あなたは医療従事者ですか?