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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科56巻7号

2002年07月発行

原著

水腎症により血清CA19-9が高値を示した子宮頸癌の1例—血清および尿中CA19-9上昇の機序について

著者: 鈴木一実1 菅谷泰宏1 丸山正次2

所属機関: 1佐野厚生総合病院泌尿器科 2佐野厚生総合病院産婦人科

ページ範囲:P.915 - P.918

文献概要

 症例は81歳,女性.発熱を主訴に外来を受診した.精査にて左水腎症を伴う急性腎盂腎炎と診断された.入院時,ほかの腫瘍マーカーは基準値以内であったが,血清CA19-9値の上昇(58U/ml)を認めた.保存的治療が奏効しないため,左腎瘻造設術を施行した.術後4週時,血清CA19-9値は正常化した(9U/ml).また,腎瘻造設術時の左腎盂尿中CA19-9値も高値を示し(8,000U/ml),術後10週時には著減した(546U/ml).最終的に左水腎症の原因は進行性子宮頸癌であった.
 婦人科領域において良性疾患を含め,血清CA19-9値が高値を示すことはたびたびある.自験例は血清および尿中CA19-9値の推移より,水腎症によりCA19-9が上昇したものと考えられた.婦人科疾患に水腎症を合併することは稀ではなく,疾患のスクリーニングやモニタリングにおいて,血清CA19-9の測定には注意を払う必要があるものと考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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