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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科56巻9号

2002年09月発行

今月の臨床 妊婦健診のピットフォール

初期健診のピットフォール

4.多胎妊娠—必ず膜性診断—絨毛膜,羊膜の診かたと初期の膜性診断

著者: 深田幸仁1

所属機関: 1山梨医科大学産婦人科学教室

ページ範囲:P.1078 - P.1081

文献概要

膜性診断の必要性・問題点
 周産期死亡率は,双胎妊娠の中では周産期異常をきたすことが少ないとされる二絨毛膜二羊膜性双胎でさえ単胎妊娠に比べ約10倍高く,一絨毛膜二羊膜性双胎では約50〜60倍高いといわれている.さらに一絨毛膜一羊膜性双胎においては,その周産期死亡率は約50%ときわめて高率である.
 一絨毛膜性双胎特有の合併症としては,胎盤の表在あるいは深部血管吻合に起因するものでは,双胎間輸血症候群(羊水過多および過少,discor—dant twins,心不全,胎児水腫,胸腹水,stucktwinなど),無心体などがあり,一羊膜性に起因するものでは臍帯相互巻絡,臍帯脱出,結合体などがあり,1児胎児死亡に起因するものでは脳障害(脳室周囲白質軟化症,脳内出血,水無脳症,孔脳症など),腎障害(先天性皮質壊死),消化管障害などの子宮内胎児塞栓症候群があげられる.したがって多胎では膜性によって胎児に異常をきたす頻度に大きな違いがあるので,妊娠初期に正確に膜性診断を行っておくことがその管理の上で重要であるといえる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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