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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科56巻9号

2002年09月発行

文献概要

今月の臨床 妊婦健診のピットフォール 後期健診のピットフォール

1.羊水過少から考えること

著者: 室月淳1

所属機関: 1国立仙台病院産婦人科

ページ範囲:P.1126 - P.1129

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はじめに
 羊水過少(oligohydramnios)は羊水量の減少を意味し,その頻度は定義によって異なるが,全妊娠のおおよそ5%に認められる.羊水は胎児にとって重要な働きをもつので,羊水過少があると胎児の罹病率や死亡率が増加することが一般に知られている.Chamberlainらの報告1)によると,周産期死亡率は羊水過少を合併すると出生1,000に対して187.5と通常の47倍にのぼる(一般の周産期死亡率は出生1,000に対して1.97である).妊娠の早期から羊水過少があれば児の予後は悪くなるが,その頻度は高くない.対照的に分娩予定日を超過した過期妊娠ではしばしば羊水過少が生じる.
 羊水過少の臨床的診断は超音波検査によってなされる.客観的に羊水量を評価する画像的指標として,羊水インデックス法(amniotic fluid index:AFI)2)が現在最も一般に受け入れられている.妊娠子宮を上下左右に4分割し,それぞれの子宮腔における最大垂直ポケット値を合計したものである.図1に妊娠週数ごとのAFIの基準値を示す3).この5パーセンタイル以下の値をとるときに羊水過少と診断される.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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