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今月の臨床 婦人科がん検診
婦人科がんの遺伝子検査―新しい検査法の可能性
著者: 青木大輔1 齊藤英子1 鈴木直1 野澤志朗1
所属機関: 1慶應義塾大学医学部産婦人科
ページ範囲:P.30 - P.33
文献購入ページに移動ある検査法ががん検診のスクリーニング手法として成立するためにはいくつかの条件がある.(1)罹患率,有病率,死亡率が高いこと,(2)検査が簡単で費用も適正であること,(3)スクリーニング検査の妥当性と信頼性が高いこと,(4)早期発見後の早期治療効果が明らかであること(公衆衛生審議会,1989)などである.(1)と(4)は検査法によらず,疾患の特性によって決定されるものである.3,000~5,000人に1人の発生頻度があればスクリーニングを検討するに値すると考えられており,婦人科領域では子宮頸がん,子宮体がん,卵巣がんの罹患率がこれに達するとされている.またこれら3つの疾患はいずれも早期発見された場合には治療によって比較的良好な予後が得られており,これらの観点から婦人科がん早期発見のためのスクリーニングは有用性があると考えられる.
わが国では,老人保健事業による地域住民検診によって,国の施策として子宮頸がんと子宮体がんに対する検診が施行されてきたが,卵巣がんに対するスクリーニング法はわが国でも諸外国でも未だ試行段階であり,コンセンサスが得られた検診手法があるとは言い難い.また子宮頸がん検診においても子宮体がん検診においても現行の方法より優れたスクリーニング法が開発され,その有効性が証明されれば新たな手法を導入することもやぶさかではないだろう.
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