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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科57巻10号

2003年10月発行

今月の臨床 周産期の難題を解く―最新のエビデンスを考慮した解説

分娩管理

3.鉗子分娩と吸引分娩の選択は?

著者: 竹田省1 保母るつ子1

所属機関: 1埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センター

ページ範囲:P.1289 - P.1293

文献概要

はじめに

 わが国での鉗子・吸引分娩は全体の9~15%を占めており,分娩第2期の母児の危機を回避するのが目的で産科医にとっては必須手技である.現在,両者の技術の習得は大学病院や研修病院で行われるが,責任者の考えで鉗子か吸引かのどちらか一方のみであり,吸引分娩が主流となっている.その理由として,鉗子技術の継承が難しいこと,昔の高在鉗子の悪いイメージなどが挙げられる.また,帝王切開術が比較的安全に手早く行われるため以前のような高在鉗子,吸引を施行する必要がなくなっている.このため適応と限界さえ知っていればどちらも安全に施行できるのであり,どちらがより優れているかなどの議論は意味がなく,それぞれの利点,欠点を十分に理解し,適応を守り,安全に確実に施行できるようにすることが大切である.

 われわれの施設では,一貫して鉗子手術のみを指導してきたが,そのなかで最も重要視してきた点は鉗子技術そのものよりも,内診が正確にとれ,児頭の最大周囲経の位置を正確に推定できること,かつその所見を説明でき,ほかの者と共有できることである.鉗子手術はトライアルという概念がないため,内診が正確でなければ鉗子手術は安全に施行できないからである.これらの経験を踏まえ,今回randomized controlled trial(RCT)を中心とした両者の比較成績から,それぞれの特徴,利点,欠点などを紹介するとともに,われわれの施設での鉗子手術施行上の注意点や問題点,内診の留意点などを紹介し,吸引分娩をされる方々の参考にしていただきたい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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