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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科57巻11号

2003年11月発行

文献概要

今月の臨床 不妊治療の難題を解く―最新のエビデンスを考慮した解説 EBMからみた一般不妊治療

2.PCOSの排卵誘発は?

著者: 松崎利也1 田中尚子1 岩佐武1 桑原章1 苛原稔1

所属機関: 1徳島大学医学部発生発達医学講座女性医学分野

ページ範囲:P.1363 - P.1367

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はじめに

 多嚢胞性卵巣症候群(polycystic ovary syndrome : PCOS)は,女性の20人から30人に1人と高頻度に存在する重要な疾患である.PCOSの患者は慢性的な無排卵のために不妊を訴える場合が多く,その治療として排卵誘発を要する.PCOSに対する排卵誘発治療では,(1)比較的軽症の排卵障害が多いにもかかわらずクロミフェン療法が効きにくい,(2)ゴナドトロピン療法を行うと副作用が発生しやすい,(3)卵巣の楔状手術は効果が限定的で卵巣周囲癒着を残す,ということが従来からの問題点であった.さらに,(4)PCOSの病態にインスリン抵抗性が関与していることが明らかになり,(5)腹腔鏡下手術の進歩により外科的治療の有用性も再考されるようになり,新しい展開を考慮する必要が出てきた.

 本稿では,PCOSに排卵誘発を行う際に選択すべき治療法についてEBMを念頭において述べる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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