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今月の臨床 不妊治療の難題を解く―最新のエビデンスを考慮した解説 EBMからみた一般不妊治療
3.早発卵巣不全(POF)への対処は?
著者: 高倉賢二1
所属機関: 1京都大学医学部婦人科学産科学教室
ページ範囲:P.1369 - P.1373
文献購入ページに移動POFの概念
早発卵巣不全(premature ovarian failure : POF)は,一般的には40歳未満で高ゴナドトロピン(Gn)・低エストロゲン血性の続発無月経をきたす症候群であり1),最も重篤な排卵障害による卵巣性無月経といえる.その病因は染色体異常などの細胞遺伝学的要因,放射線・薬剤などの環境要因,代謝異常,免疫異常など多岐にわたっているものと思われるが2),未解明な点が多い.表1にRebar and Bronson(1996)による分類を示した3).理論的には,①出生時より卵胞数の少ないもの,②卵胞数の減少の急速なもの,③卵胞数は正常のものに分けられ,①の原因として染色体異常などの細胞遺伝学的要因,②の原因として放射線・薬剤などの環境要因,代謝異常,免疫異常など,③の原因としてGnレセプター異常,Gnの構造異常,Gn標的細胞の異常などが想定されよう4).実地臨床上は,①特発性POF(既往に卵巣に対する手術,放射線治療,抗癌化学療法を受けていないもの),②手術・化学療法関連POF(両側卵巣に摘出以外の手術操作あるいは抗癌化学療法を受けたもの),③手術・放射線POF(手術や放射線により去勢されたもの)と分類することが可能である5).
POFはその概念規定においても混乱がみられ,POF,primary ovarian failure,premature menopause,gonadotoropin―resistant ovary syndrome(GnROS),insensitive ovary syndrome,premature follicular depletion,hypergonadotropic hypogonadismなどの用語が報告により混同されて用いられていることも多い4).図1にhypergonadotropic hypogonadismに含まれる病態の概念整理を試みた6).GnROSは狭義には卵胞数が正常のものをいうが,ここには卵胞数の減少しているものも含めている.早発閉経premature menopauseは卵胞が完全に枯渇したものに称すべきであると考えられ,排卵誘発の適応にならない.
早発卵巣不全(premature ovarian failure : POF)は,一般的には40歳未満で高ゴナドトロピン(Gn)・低エストロゲン血性の続発無月経をきたす症候群であり1),最も重篤な排卵障害による卵巣性無月経といえる.その病因は染色体異常などの細胞遺伝学的要因,放射線・薬剤などの環境要因,代謝異常,免疫異常など多岐にわたっているものと思われるが2),未解明な点が多い.表1にRebar and Bronson(1996)による分類を示した3).理論的には,①出生時より卵胞数の少ないもの,②卵胞数の減少の急速なもの,③卵胞数は正常のものに分けられ,①の原因として染色体異常などの細胞遺伝学的要因,②の原因として放射線・薬剤などの環境要因,代謝異常,免疫異常など,③の原因としてGnレセプター異常,Gnの構造異常,Gn標的細胞の異常などが想定されよう4).実地臨床上は,①特発性POF(既往に卵巣に対する手術,放射線治療,抗癌化学療法を受けていないもの),②手術・化学療法関連POF(両側卵巣に摘出以外の手術操作あるいは抗癌化学療法を受けたもの),③手術・放射線POF(手術や放射線により去勢されたもの)と分類することが可能である5).
POFはその概念規定においても混乱がみられ,POF,primary ovarian failure,premature menopause,gonadotoropin―resistant ovary syndrome(GnROS),insensitive ovary syndrome,premature follicular depletion,hypergonadotropic hypogonadismなどの用語が報告により混同されて用いられていることも多い4).図1にhypergonadotropic hypogonadismに含まれる病態の概念整理を試みた6).GnROSは狭義には卵胞数が正常のものをいうが,ここには卵胞数の減少しているものも含めている.早発閉経premature menopauseは卵胞が完全に枯渇したものに称すべきであると考えられ,排卵誘発の適応にならない.
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