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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科57巻12号

2003年12月発行

今月の臨床 婦人科がん治療の難題を解く―最新のエビデンスを考慮した解説

子宮頸がん

1.円錐切除の限界は?

著者: 植木健1 山口裕之1 出馬晋二1 植木實1

所属機関: 1大阪医科大学産婦人科

ページ範囲:P.1477 - P.1481

文献概要

はじめに

 子宮頸部円錐切除は,古くから従来のメスを使用したcold knife conizationから,最近では高周波や各種レーザーを使用したhot knife conization,超音波を利用したものまで多岐にわたる.それぞれ良し悪しはあるが,本稿ではその円錐切除としての手技はさておき,どこまで治療的円錐切除は可能であるかという問題について検討してみたい.

 現在わが国で用いられている子宮頸癌の臨床進行期分類は1994年のFIGO分類に基づいて作成され,1997年に日本産婦人科学会で採用されたものである1).Ia期が浸潤5 mmまでと拡大されたことは,子宮頸がんの最大のリスクファクターであるリンパ節転移がIa期のなかに含まれる可能性が高まったということである.旧Ia期では脈管侵襲や癒合浸潤が認められない浸潤3 mmであったのに対し,Ia1期でさえ浸潤3 mm以内であれは縦軸方向の拡がりが7 mmを超えなければ脈管侵襲(lymph vascular space invasion : LVSI)があってもよいとされた.ようやく旧Ia期までは治療的円錐切除でよいとほぼコンセンサスは得られたばかりであるのに,LVSIが存在しても可能かどうか.さらに旧Ib期からstage downされた3~5 mm浸潤例Ia2期に関しても,縮小手術や円錐切除の適応があるかどうかも考えなければならない.

 本稿では,扁平上皮癌についてまず初期浸潤癌における病理学的なリスクについて検討する.次いでその治療成績からみた円錐切除の限界について,最後に腺癌の取り扱いや治療について,日本の学会におけるエビデンスや海外の文献を中心に,当科における成績も供覧しつつ解説する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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