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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科57巻12号

2003年12月発行

臨床経験

マウス前核期胚を用いた感染防止のためのストロー法によるvitrificationの検討

著者: 公文麻美1 熊迫陽子1 宇津宮隆史1 荒木康久2

所属機関: 1セント・ルカ産婦人科 2高度生殖医療技術研究所

ページ範囲:P.1571 - P.1575

文献概要

はじめに

 約40年前にWhittinghamら1)によって初めてマウス受精卵の緩慢凍結法が報告されて以来,さまざまな哺乳動物,発育ステージにおいて受精卵の凍結法が研究,報告されてきた.今日ではヒトの不妊治療において胚の凍結は必要不可欠なものとなり,in vitro fertilization embryo transfer(IVF―ET)を行う多くの施設で実施されるようになった.一方,約20年前Rallらによって報告された急速凍結法2)(ガラス化法 : vitrification)はそれまでの緩慢凍結法と比較し,より迅速かつ低コストで受精卵を凍結することが可能となり,近年,ヒトIVF―ETにおいても応用されるようになった.

 1996年,初めて太田ら3)はヒト分割胚におけるvitrification法で妊娠を報告した.その後,胚の各発育ステージで急速に凍結することを可能にするために,液体窒素に直接胚が触れるopen pull straw(OPS)4),cryoloop5)などの凍結胚containerを用いた方法が報告されている.しかしながらそれらの方法が普及しない1つの要因として,その技術の困難さ,また急速に凍結する必要性ゆえに液体窒素に直接胚が接触するために感染が生じる危険性から,従来の緩慢凍結法のほうが確実・安全であると考えられる.

 今回われわれは,ヒト前核期胚で従来行われてきた緩慢凍結法に代わり,vitrification法において胚が液体窒素に直接接触しない密閉可能なストロー法を検討したので報告する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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