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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科57巻3号

2003年03月発行

今月の臨床 母体症候―救急疾患の鑑別と初期対応

妊娠中の救急症候

6.黄疸・肝機能障害

著者: 東山信彦1 井浦俊彦2 牧野田知2

所属機関: 1医療法人社団 三龍会 高木総合病院産婦人科 2金沢医科大学産科婦人科学講座

ページ範囲:P.270 - P.273

文献概要

はじめに

 黄疸は血清中のビリルビンが1.2 mg/dl以上に増加して皮膚や眼球の強膜が黄染する疾患であり,発症原因別に,①肝前性黄疸(溶血性黄疸など),②肝性黄疸(肝細胞性黄疸など),③肝後性黄疸(胆管閉塞など)と分類されるように,肝臓を中心とした原因で発症する.肝機能障害はその名の通り肝臓の障害により発症することから,本稿で扱う疾患は肝臓ならびにその周辺臓器である胆嚢・胆管の障害を原因とすることが多い.

 妊娠を契機に胎盤から大量に分泌されるエストロゲンやプロゲステロンは妊娠の成立や維持に不可欠な働きをしているが,いずれも肝臓で代謝されるため,肝臓に大きな負担を強いることになる.また,エストロゲンやプロゲステロンの分泌増加に伴い,胆嚢の収縮が抑制されて胆汁うっ滞を惹起することにもなる.したがって,妊娠中には妊娠を原因として黄疸・肝機能異常が発症する産科固有の疾患があるうえに,妊娠とは無関係な偶発合併症としての黄疸・肝機能異常もあり,さらに診断ならびに治療方針の決定にあたって,母体ならびに胎児双方を救命しなければならない周産期特有の問題もある.本稿では,妊娠中に救急症候として黄疸・肝機能異常を示した際の鑑別法と初期対応について述べる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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