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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科57巻3号

2003年03月発行

連載 薬の臨床

更年期のうつ病におけるSSRI(パロキセチン)の精神・身体症状改善効果

著者: 後山尚久1 東尾聡子1 池田篤1 植木實1

所属機関: 1大阪医科大学産婦人科学教室

ページ範囲:P.333 - P.338

文献概要

●はじめに

 選択的セロトニン再吸収阻害薬(selective serotonin reuptake inhibitor : SSRI)のパロキセチン(paroxetine hydrochloride : Paxil(R)〔グラクソ・スミスクライン〕)は多くの国で使用されており,その臨床データの蓄積により治療対象症例への有効性や副作用についての症例報告は徐々に増えつつある1).わが国でも市販されてから1年以上が経過し,抗うつ効果や種々の副作用(眠気,消化器症状,性機能障害など)についての報告がなされるようになった2, 3).パロキセチンは女性の乳癌患者において,うつ状態のみならず4),術後のホットフラッシュに有効性が高いことも報告されている5, 6).また,強迫性障害7)ではクロミプラミンと同等の効果がみられ,社会不安障害8)においても不安スコアを有意に低下させる効果をみせている.産婦人科領域では郷久ら9)が37例の更年期女性(更年期障害,気分障害,パニック障害など)に対して使用し,62.2%の有効率を得たと報告している.最近ではSSRIは月経前違和症候群(premenopausal dysphoric disorder : PMDD)や月経前うつ病(premenstrual depression : PMD)や産後うつ病にも有効性が報告されるようになった10, 11)

 更年期不定愁訴例の28%は,心理因子,社会・文化的因子を主たる要因としてうつ病を発症する12).更年期のうつ病はしばしば診断が困難で,慢性化,難治化するため,早期診断・治療を要する13)

 われわれは,更年期に発症したうつ病に対しパロキセチンを投与し,その有効性と薬剤コンプライアンスを検討し,若干の知見を得たので報告する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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