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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科57巻4号

2003年04月発行

文献概要

今月の臨床 ここが聞きたい 産婦人科外来における対処と処方 I. 周産期 [産褥乳汁分泌の調整]

7.中期流産手術が無事に終了しましたが,退院の翌日から乳房の緊満があり,乳汁の分泌がみられます.対処と処方について教えて下さい.

著者: 長塚正晃1 岡井崇1

所属機関: 1昭和大学医学部産婦人科

ページ範囲:P.381 - P.383

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1 診療の概説

 乳房は,妊娠中,子宮とならび大きな変化を遂げる臓器である.乳房の変化は妊娠初期に始まり,産褥期まで続く.母乳栄養が人工栄養に比べ,免疫学的,栄養学的,経済的,心理的にみて優れていることは一般的に知られている.

2 乳汁分泌機序

 性ステロイドは,妊娠中の乳腺細胞の増殖,乳腺の発育に重要な役割を果たしているが,同時に,乳汁分泌には抑制的に作用している.妊娠中,高濃度に存在する性ステロイドホルモンは乳腺細胞のプロラクチン受容体の発現を抑制しており,特にプロゲステロンの作用が顕著である.分娩後は胎盤の娩出により性ステロイドが急激に消退するためにその抑制は解除され,プロラクチンに対する乳腺細胞の感受性は増大する.分娩後はプロラクチン濃度も下降するが,性ステロイドの下降のほうがはるかに大きく,抑制されていた乳汁分泌が発来する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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