icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科57巻4号

2003年04月発行

文献概要

今月の臨床 ここが聞きたい 産婦人科外来における対処と処方 I. 周産期 [産褥乳腺炎,乳頭亀裂]

8.産褥期の発赤,発熱,疼痛を伴う乳腺炎の対処と処方について教えて下さい.

著者: 長塚正晃1 岡井崇1

所属機関: 1昭和大学医学部産婦人科

ページ範囲:P.384 - P.385

文献購入ページに移動
1 診療の概説

 本稿では,うっ滞性乳腺炎と化膿性乳腺炎,およびそれらの延長線上にある乳腺膿瘍について述べる.乳腺炎の原因を表1に挙げる.

1. うっ滞性乳腺炎

 うっ滞性乳腺炎とは,乳汁のうっ滞(排泄不全)が生じることで乳房の腫脹で乳汁分泌が亢進する産褥3~4日目以降に起こる.非感染性であり,ほとんどが片側性に発症する.症状は自発痛・圧痛を伴う乳房の腫脹と乳汁のうっ滞部の硬結を認める.発赤や発熱はほとんど認めない.治療は積極的に授乳を行い,授乳後の搾乳や乳房マッサージによりうっ滞を解消させる.また予防が大切であり,授乳法・乳房管理について指導し,再発を防ぐ.腫脹が強いときは冷罨法を行う1)

2. 化膿性乳腺炎

 化膿性乳腺炎のほとんどは,乳汁うっ滞を基礎として二次的に生じる.産褥2~6週間頃に起こりやすい.病変は片側性が多く,乳房全体ではなく一部,外上側1/4であることが多い.化膿性乳腺炎は,実質性乳腺炎と間質性乳腺炎に分けられる.実質性乳腺炎は乳管開口部から乳管内に細菌が侵入し,乳腺そのものに炎症が波及したものである.間質性乳腺炎は乳頭亀裂,乳頭の損傷部から細菌感染がリンパ行性に乳腺間質に波及したものである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?