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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科57巻4号

2003年04月発行

今月の臨床 ここが聞きたい 産婦人科外来における対処と処方

I. 周産期 [高血圧(妊娠中)]

10.妊娠36週で高血圧となり,腹部に浮腫が出現しました.薬物療法を選択する基準について教えて下さい.

著者: 越智博1

所属機関: 1愛媛大学医学部産婦人科

ページ範囲:P.388 - P.389

文献概要

1 診療の概説

 妊娠中毒症の病態は胎盤虚血などに反応して炎症性サイトカインが産生され,これらが母体に作用して白血球の活性化および血管内皮細胞傷害を引き起こすことによって形成される.これによって血管弛緩作用を有するプロスタサイクリンや一酸化窒素(NO)の産生が抑制され,アンジオテンシンIIに対する血管反応が亢進して,血管平滑筋は収縮し血圧が上昇する.一方,プロスタサイクリン産生障害によって血小板凝集抑制作用が低下して凝固亢進状態が生じる.腎糸球体における血管の攣縮と血栓形成により糸球体の機能障害をきたして蛋白尿を生じる.全身の血管攣縮と血管内皮細胞傷害に基づく血管透過性の亢進によって間質に水,Naが貯留し,浮腫が発生する.さらに螺旋動脈の病理組織学的変化や攣縮に伴う子宮胎盤血流量の減少は子宮内胎児発育遅延や胎児仮死を惹起する.

 妊娠中毒症は母児ともに重篤な病態を引き起こす可能性があり,適切な管理が必要である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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