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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科57巻4号

2003年04月発行

今月の臨床 ここが聞きたい 産婦人科外来における対処と処方

I. 周産期 [貧血(妊娠中)]

12.胃腸障害で経口投与が困難な鉄欠乏性貧血の対処と処方について教えて下さい.

著者: 越智博1

所属機関: 1愛媛大学医学部産婦人科

ページ範囲:P.392 - P.393

文献概要

1 診療の概説

 妊娠中は増加したエストロゲンとプロゲステロンがレニン―アンジオテンシン―アルドステロン系を活性化させ,ナトリウムイオンと水を貯留させる.そのため循環血漿量は妊娠初期から増加が始まり,妊娠32~34週には最高値を示し,非妊娠時より約40%増加する.妊娠中赤血球は約20%,総ヘモグロビン(Hb)は約10%増量するが,血漿の増加率がより大きいので正常でもヘマトクリット(Ht)やHb濃度の生理的な減少を認める.その結果,Htは33%,Hbは11 g/dl程度になる.

 このような妊娠に伴う血液の希釈による貧血は生理的なもの(生理的貧血あるいは希釈性貧血)で,Hb濃度が単に低下したからといって酸素運搬能力は低下しない.むしろ胎盤への血液循環を増加させ,子宮胎盤循環の血流量が増加して酸素供給量は増加し,胎児への酸素や栄養分の輸送を促進する.

 妊婦の貧血を診断するためには,血漿量の大きな増加がみられない妊娠初期に血液所見を評価することが大切である.妊娠初期では貧血とはHb 11 g/dl未満またはHt 33%未満のものをいう.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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