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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科57巻4号

2003年04月発行

今月の臨床 ここが聞きたい 産婦人科外来における対処と処方

II. 内分泌 [子宮内膜症]

40.子宮内膜症に対する治療薬の使い分けについて教えて下さい.

著者: 小池浩司1

所属機関: 1金沢大学大学院産科婦人科学

ページ範囲:P.468 - P.469

文献概要

1 診療の概説

 子宮内膜症の患者が訴える主な症状は骨盤内疼痛,不妊および付属器腫瘤である.付属器腫瘤は一般的には外科的な治療が優先されるため,薬物療法の対象となる症状は骨盤内疼痛と不妊であり,用いられる薬剤も鎮痛剤などの対症薬から排卵を抑制するホルモン療法に至るまで,さまざまな薬剤が選択肢として存在する.しかし各種治療薬を選択するにあたって,まず患者が主訴としている骨盤内疼痛や不妊が子宮内膜症によるものかどうかの診断を明確にする必要がある.しかし子宮内膜症の診断根拠も,外来での検査に基づくもの(婦人科診察,画像診断,腫瘍マーカーなど)から腹腔鏡によるものまでさまざまであるが,一方,診断精度そのものも子宮内膜症病変の程度に左右されるため,特に軽症例の場合には,外来治療に対する反応をみながら診断を類推するいわゆる治療的診断の域を出ない場合も少なくない.

 治療薬の選択においては,子宮内膜症の診断精度が考慮される一方,患者の症状の程度,現在不妊治療を希望しているかどうか,あるいは将来妊孕性の温存を希望するかどうかなどの患者の希望や,排卵抑制を目的としたホルモン療法の長期副作用,病巣の根治性の低さ,高い再発率,治療の経済性などを考慮しながら治療薬剤を使い分ける必要がある.多くの研究で,GnRHアゴニスト(GnRHa)療法やダナゾール療法などの薬物療法が結果的に妊娠率を上昇させないことが報告されているため,腹腔鏡手術を含めた外科的治療や生殖補助技術などを視野に入れた不妊治療を優先させる.したがって,外来での薬物療法の主な対象者は,将来妊孕性の温存を希望する若年未婚婦人と妊娠を希望しない婦人である.

 本稿では,上記の対象婦人について子宮内膜症の治療薬の使い分けの原則を述べたい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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