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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科57巻4号

2003年04月発行

今月の臨床 ここが聞きたい 産婦人科外来における対処と処方

II. 内分泌 [骨粗鬆症]

50.閉経後の骨量低下,骨粗鬆症の治療と管理について教えて下さい.

著者: 樋口毅1 水沼英樹1

所属機関: 1弘前大学医学部産婦人科

ページ範囲:P.498 - P.500

文献概要

1 診療の概説

 女性は更年期において月経が不整になる頃より骨量減少が始まり,閉経後の十数年間で20~25%もの骨量減少が起こると考えられている.また,閉経後の骨量減少は直線的に進行するのではなく,閉経後3年間は年3~4%の急激な骨量低下が認められるが,以後,次第に骨量低下は緩慢となる.しかし,閉経後13年をすぎると再び低下が促進される(図1)1).閉経直後の急激な骨量減少は卵巣のエストロゲン分泌欠乏が主たる要因であるのに対し,より高齢者においてはエストロゲン欠乏に加え,加齢に伴うカルシウム代謝異常が追加され骨量減少が生ずると考えられている.

 したがって,治療方針を検討するにあたっては,まず,対象者の骨量の程度を把握し,すでに骨粗鬆症なのか骨量減少の状態なのかを判定にしておく必要がある.さらに,骨量評価以外にも骨代謝が現在どのような状態にあるのかも把握し,未治療が骨量減少をさらに加速する状態にあるのか,あるいは急速な減少の可能性は少ない状態にあるのかなどを評価する必要がある.予防的見地からも閉経周辺期にこれらの評価をしておくことが望ましい.

 なお,骨粗鬆症は生活習慣病の一種であり,その予防や治療には食事療法や運動療法を導入することを基本とすべきであるが,これらが無効の場合,すでに骨粗鬆症となっている場合,あるいは骨折のリスクの高い場合には薬物療法を優先させる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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