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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科57巻4号

2003年04月発行

文献概要

今月の臨床 ここが聞きたい 産婦人科外来における対処と処方 II. 内分泌 [高脂血症]

52.閉経後女性の高コレステロール血症,高トリグリセリド血症の対処と処方について教えて下さい.

著者: 若槻明彦1 篠原康一1 渡辺員支1

所属機関: 1高知医科大学産婦人科

ページ範囲:P.505 - P.507

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1 診療の概説

 1999年の厚生労働省による高脂血症の頻度をみると,女性の場合,閉経年齢である50歳を超えると高脂血症の頻度は急激に増加し,男性より高率となる(図1).総コレステロール(TC)や中性脂肪(TG)濃度の経年的変化も,50歳頃より急激に増加することから1),エストロゲン濃度の低下がTCやTGの上昇に関係すると考えられている.

 閉経後にエストロゲン濃度が低下すると,肝のLDL受容体数が減少するとともに2),LDLの律速酵素であるリポ蛋白リパーゼ活性が亢進することが明らかになっている3).したがって,血中エストロゲン濃度の低下がLDLの合成系を亢進し,異化系を低下させるため,血中LDL濃度が上昇すると考えられる.血中のLDLは血管壁内に侵入し,マクロファージに貪食され,粥状硬化へと進展する.

 TG濃度も,TCと同様に閉経後に上昇することが報告されている.高TG血症はHDLコレステロール低下作用や血栓形成促進作用を有する以外にも,CHDの発症と密接に関連する小型のLDL粒子を産生することで動脈硬化に促進的に働くといわれている.われわれは,閉経後に上昇するTGがLDLを小粒子化させることを明らかにしている4).小型LDL粒子はfree radicalに容易に酸化されることから,大型LDLに比べてよりatherogenicといわれており,閉経後女性のLDLの蓄積は,量的にも質的にもCHDの最大の危険因子と考えられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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