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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科57巻4号

2003年04月発行

文献概要

今月の臨床 ここが聞きたい 産婦人科外来における対処と処方 II. 内分泌 [老人性腟炎]

53.主に外陰部痛と掻痒感を主訴とする老人性腟炎の対処と処方について教えて下さい.

著者: 若槻明彦1 篠原康一1 渡辺員支1

所属機関: 1高知医科大学産婦人科

ページ範囲:P.508 - P.509

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1 診療の概説

 腟内は常在菌であるデーデルライン桿菌が存在するため,細菌感染には抵抗性である.しかし,更年期から老年期にかけて卵巣からのエストロゲン分泌が減少すると,腟内のグリコーゲン産生の低下に伴い,デーデルライン桿菌が減少する.このため腟内の自浄作用は低下し,さまざまな雑菌による感染を受けやすくなる.

 老人性・萎縮性腟炎とはエストロゲン濃度の低下が原因の腟炎をいう.有経女性の場合,帯下の性状はデーデルライン桿菌が存在するため白色調を呈するが,老人性・萎縮性腟炎では,増殖した細菌のために,黄色味を帯びた汚い帯下に血液が混在することがある1).帯下以外にも,炎症のために腟粘膜の疼痛や灼熱感など腟不快感を伴うことも少なくない.また,エストロゲン欠乏は外陰皮脂腺の分泌を低下させ,皮膚表面を乾燥させるため,外的刺激を受けやすくなり,外陰部の疼痛や掻痒感を認めることもある2)

 診断としては,他覚的所見も重要であり,視診上,腟壁は炎症性に充血するので薄い腟粘膜のところどころから血性の滲出液を認めたり,腟内容物を検鏡すると多数の多核白血球と傍基底細胞,あるいは中間細胞が優位にみられるのも特徴である3)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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