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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科57巻4号

2003年04月発行

今月の臨床 ここが聞きたい 産婦人科外来における対処と処方

III. 不妊症 [多嚢胞卵巣症候群]

58.多嚢胞卵巣症候群の女性にゴナドトロピン療法を行ったところ,排卵後7日目で卵巣過剰刺激症候群を発症し,腹水が貯留して尿量の減少もあります.対処と治療法について教えて下さい.

著者: 高倉賢二1

所属機関: 1京都大学医学部婦人科学産科学教室

ページ範囲:P.524 - P.525

文献概要

1 診療の概説

 卵巣過剰刺激症候群(ovarian hyperstimulation syndrome : OHSS)は排卵誘発剤(多くはゴナドトロピン製剤)の投与に伴って発症する卵巣腫大,腹水あるいは胸水の貯留,循環血液量の減少と血液濃縮,血清電解質異常,乏尿などを呈する医原性疾患である.重症例ではその合併症として肝障害,血液凝固能亢進と血栓塞栓症,腎不全,呼吸不全を発症し,多臓器不全により致死的となる場合もある.脳血栓を起こして不可逆性の後遺症をきたすこともある.

 発症機序にはまだ不明の点も多いが,多囊胞卵巣症候群(PCOS),35歳以下の若年者,痩せた症例に多いといわれている.また,GnRHアゴニストを併用した場合,hCG切り替え時に多数の卵胞が発育し,血中エストラジオール濃度が高い場合などに起こりやすく,妊娠の成立やhCGの投与が増悪因子とされている.表1に日本産科婦人科学会の重症度分類を示す.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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