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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科57巻4号

2003年04月発行

文献概要

今月の臨床 ここが聞きたい 産婦人科外来における対処と処方 III. 不妊症 [男性不妊]

60.精液検査で無精子症と判明しました.AID以外に何か可能性のある治療法はないでしょうか.

著者: 三宅麻喜1 星和彦1

所属機関: 1山梨大学医学部産婦人科

ページ範囲:P.530 - P.531

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1 診療の概説

 無精子症(azoospermia)とは「精液中に精子が存在しないこと」(WHO laboratory manual. 4th ed. 1999)と定義されている1).精子数が極端に少ないときは,顕微鏡下に精液を観察しても精子がみつからない場合がある.そのようなときは,精液を3,000 gで15分間遠心し,試験管底の濃縮された部分の精液を観察する.それでも精子がまったく認められないときは無精子症と診断する2)

 射出精液中に精子がない無精子症でも,精巣上体や精巣内に存在するときは,これらの組織から精子を回収して卵細胞質内精子注入法(intracytoplasmic sperm injection : ICSI)を行い,射出精子を用いたときとほぼ同等の受精率,妊娠率が得られるようになってきている.

 精巣生検は直接精細管内の造精機能をみるもので,無精子症には不可欠の検査である(表1).精細管内での精子形成の有無,精細胞の分化度,造精機能障害の種類,程度が明らかになる.造精機能は正常であるが,精液中に精子が認められないときは精路の異常が疑われる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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