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今月の臨床 ここが聞きたい 産婦人科外来における対処と処方 V. 腫瘍 [子宮体癌]
88.子宮体癌に対する薬物療法に用いられる薬剤と,その使用基準について教えて下さい.
著者: 塩沢丹里1 小西郁生1
所属機関: 1信州大学医学部産婦人科
ページ範囲:P.598 - P.599
文献購入ページに移動子宮体癌はわが国では近年急速に増加しており,さらに有効な治療法の開発が急務な疾患である.子宮体癌患者に対する外来ベースの経口的薬物療法は,現在,ほとんど行われていない.すなわち化学療法は,まず手術療法が行われ,摘出標本にて組織分化度G3,筋層浸潤>1/2,脈管侵襲著明,リンパ節転移陽性,その他の子宮外進展陽性など再発リスクの高い症例に対して,術後追加治療として施行される.一方,III~IV期の進行例では当教室ではまず化学療法を施行し,その後に手術を行い良好な成績を得ている.薬剤として CAP(cisplatin+adriamycin+cyclophosphamide)療法が用いられ,比較的高い(31~56%)奏効率を得ている1).さらに1990年代後半にはtaxolが導入され,こちらも主にTJ(taxol+carboplatin)療法を中心としたレジメンで60~80%と高い奏効率が報告されている1).
現在のところ,CAPとTJの有効性に関する比較試験の報告は少ないものの,2002年のGOG177のrandomized studyで,進行再発体癌に対するAP(ADR 60 mg/m2, CDDP 50 mg/m2)とTAP(TXL 160 mg/m2, ADR 45 mg/m2, CDDP 50 mg/m2)の比較検討が行われ,奏効率はAP投与群で33%,TAP投与群では57%で,有意にTAPのほうが高いという報告がされている2).
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