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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科57巻4号

2003年04月発行

今月の臨床 ここが聞きたい 産婦人科外来における対処と処方

V. 腫瘍 [リンパ浮腫]

91.広汎性子宮全摘術後,再発もなく順調に経過していましたが,2年過ぎてから片側下肢の著明なリンパ浮腫(疼痛はない)が発生しました.対処と処方について教えて下さい.

著者: 野田雅也1 工藤隆一1

所属機関: 1札幌医科大学産婦人科

ページ範囲:P.609 - P.611

文献概要

1 診療の概説

 術後リンパ浮腫の問題点は,(1)いつ症状が出るかわからない疾患であること,(2)全員が発症する疾患ではないこと,(3)浮腫に個人差が大きいこと,(4)死ぬ病気ではないこと,(5)浮腫が慢性化した場合は永久に管理保護が必要な疾患であること,である.以上より,手術後の予防法がないことから,発症してから医療者により積極的な治療が行われていないのが現状となっている.

 婦人科癌にて骨盤内リンパ節摘出術後のリンパ浮腫発症に関してわれわれが多施設共同研究を行ったところ,23.5%(101/429例)に認められた.この中には一過性の患者が46.5%(47/101例),慢性的な患者が51.9%(52/101例),不明が2例であった.以上より産婦人科癌根治手術を行った場合,約1割の患者は慢性リンパ浮腫になることがわかった.以上の結果より,本疾患は癌術後の合併症として由々しき問題であり,積極的かつ有効な治療が望まれる.

 われわれは,以前より下肢リンパ浮腫に対して交感神経ブロック法が非常に有効な方法であることを述べてきた1, 2).そこで施行したブロック治療における効果について,最近のデータを中心に解説する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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