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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科57巻4号

2003年04月発行

今月の臨床 ここが聞きたい 産婦人科外来における対処と処方

VI. その他 [尿失禁]

96.咳や労作時に尿が漏れる腹圧性尿失禁の対処と処方について教えて下さい.

著者: 平井光三1 尾崎宏治1 石河修1

所属機関: 1大阪市立大学医学部産婦人科

ページ範囲:P.618 - P.619

文献概要

1 診療の概説

 われわれが行ったアンケート調査によると,産婦人科外来を受診した患者19,239名のうち,5,160名(26.8%)が何らかの尿失禁症状を有するとの結果を得た.その中で,腹圧性尿失禁症状を有する者は2,429名(47.1%)と最も高頻度であり,尿失禁陽性と答えた患者の約7割を占めることがわかった1)

 腹圧性尿失禁とは,咳,くしゃみ,笑う,走る,重いものを持つなどによる腹圧上昇に伴い,膀胱内圧が上昇して尿道内圧を超えることにより,尿道より尿が不随意に漏出する状態をいう.その頻度は,分娩経験や年齢とともに増加し,40~50歳代で最も高頻度に認められるといわれている.

 診療に際しては,年齢(特に更年期),分娩経験,肥満,慢性の便秘や咳は,尿道の支配神経や骨盤底支持組織の障害を助長する可能性があるため,注目する必要がある.

 治療を行うには正確な診断が不可欠であるが,腹圧性尿失禁の診断において,問診は最も重要なステップの1つである2).外来レベルで可能な尿失禁関連の検査としては,内診(性器脱評価),残尿測定,Q―tipテスト,60分間パッドテスト,ストレステスト,鎖尿道膀胱造影などがあるが,尿失禁用問診表を用いて詳細な問診を行うことが診療を開始するうえで最も重要なことであるといえる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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