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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科57巻4号

2003年04月発行

文献概要

今月の臨床 ここが聞きたい 産婦人科外来における対処と処方 VI. その他 [尿失禁]

97.トイレに行くまでに尿が漏れてしまう切迫性尿失禁の対処と処方について教えて下さい.

著者: 平井光三1 尾崎宏治1 石河修1

所属機関: 1大阪市立大学医学部産婦人科

ページ範囲:P.621 - P.623

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1 診療の概説

 膀胱は,健常人においてはコンプライアンスの高い貯蔵臓器であり,自発的に排尿を行うとき以外には収縮はしない.ところが,明らかな神経異常が認められない不安定膀胱と呼ばれる状態では,突然あるいは何らかの刺激により不随意に収縮が起こる.症状としては,突然強い尿意に襲われ,トイレにたどり着く前に間に合わずに漏れるもので,頻尿や夜尿症を伴うことも多く,しばしば何らかの刺激により誘発される.尿意切迫感は,膀胱内圧検査により知覚性と運動性に分類される.前者は,排尿反射中枢は正常であるが,極端に強い尿意が排尿中枢からの抑制を上回ることにより生じ,必ずしも排尿筋収縮を伴っておらず,後者は,大脳の排尿中枢の障害により橋排尿中枢への抑制が働かず,膀胱への軽度の刺激でも排尿反射が誘発され排尿筋の収縮を伴うものである.

 明らかな原因が不明である場合が多く,根本的な治療は困難な場合が多いのであるが,表1に示すように,切迫性尿失禁症状を呈する基礎疾患を見落とすことがないように,十分な原因検索を怠らないことが重要である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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