icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科57巻5号

2003年05月発行

文献概要

今月の臨床 妊娠と薬物―EBM時代に対応した必須知識 総論

1.薬物の胎盤通過,母乳への移行動態

著者: 菅原和信1

所属機関: 1弘前大学医学部附属病院薬剤部

ページ範囲:P.650 - P.655

文献購入ページに移動
はじめに

 妊娠中の母親および授乳中の母親に薬物を投与する際に注意しなければならないことは,薬物が胎児および乳児に影響を与えるかどうかである.しかし,母親が重篤な疾患にかかり,生命に影響を及ぼす状況下では薬物の使用は不可欠である.通常は母親への治療上の有益性と胎児および乳児への危険性を考え薬物療法に当たる必要がある.

 妊婦に投与されたほとんどの薬物は胎盤を通過し,胎児の血液中に入るし,また授乳中の母親に投与されたほとんどの薬物は母乳を介して乳児の体内に入る.すなわち,妊婦あるいは授乳婦が薬物を摂取すると母親自身に影響があるだけでなく,同じ薬物が胎児あるいは乳児にも影響を与えることになる.胎児や乳児では発達系が不十分なため,代謝をはじめ母親と同じような過程をとることができず,薬物によっては胎児の正常な発達に,また乳児の発育に影響を与えることがある.

 本稿では,薬物の胎盤通過および母乳への移行動態について述べる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?