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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科57巻5号

2003年05月発行

今月の臨床 妊娠と薬物―EBM時代に対応した必須知識

妊産婦,授乳婦人での薬物の選択と投与法

6.向精神薬,抗うつ薬,抗てんかん薬

著者: 神谷直樹1

所属機関: 1東京慈恵会医科大学附属柏病院産婦人科

ページ範囲:P.691 - P.695

文献概要

はじめに

 妊娠の可能性のある女性が薬物を服用している時に妊娠の診断が確定されることはよくある.そしてその薬物が胎児を障害する可能性があるか否かが最大の関心事となり,「100%安全である」という言葉を期待し受診する.たとえその薬物が解熱剤1錠であってもである.すなわち,薬物はすべて絶対禁忌というのが一般的患者心理である.一方インターネットの普及によりかなり詳細な情報が容易に入手できるという現状がある.例えば「http : //www.okusuri110.com/kinki/ninpukin/ninpukin_01―01.html/」というサイトをご覧いただきたい.われわれの知識をはるかに越えた情報が満載されている.このような状況下で受診者に「一般集団中の先天異常の頻度では新生児の約3%は何らかの異常を有し,環境要因が原因として推定できるものはそのうちの約7%であり,薬物などの化学物質に起因するものは約1%といわれている1)」という新生児異常の原因は薬物のみではないという説明からはじめ,薬物の種類,薬用法・用量,服薬期間と妊娠期間との関係はどうかなどの諸点を調査,検討することになる.また喘息・糖尿病・甲状腺機能亢進症・てんかんなど治療上投薬が必要な場合であっても,妊婦は胎児に対する副作用を心配し不安を隠しきれず,服薬を中断してしまうことがよくある.このような問題点を少しでも減少させ,妊婦の不安を少しでも軽減させるためには,薬物の胎児または母乳移行動態を知り,薬物の影響などについて説明に勤める必要がある.しかし妊婦が安心できる情報のない薬物が数多くあり,苦慮することも多い.

 現在われわれが参考にできる薬物による催奇形性の評価に関しては次の4つがあり,それぞれの判定基準を表1に記載する.この薬物自体の評価に服用妊娠時期を加味し最終評価とする.

 1)医療用医薬品添付文書

 2)FDA薬剤胎児危険度分類基準(FDA Pregnancy Category)

 3)虎の門病院の薬剤危険度評価基準

 4)オーストラリア基準

 これらは新しい知見が集積されると改訂されるので,最新のものを利用いただきたい.次に疾患別の知見などを記載する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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