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今月の臨床 妊娠と薬物―EBM時代に対応した必須知識 妊産婦,授乳婦人での薬物の選択と投与法
7.利尿・降圧薬,循環器病薬―特に妊娠高血圧症病態における注意点
著者: 中本收1 本久智賀1 日高敦夫2 伊庭敬子1 羽田祥子1 松本雅彦3 松尾重樹1
所属機関: 1大阪市立総合医療センター産婦人科 2皇學館大学社会福祉学部 3大阪市立都島保健センター
ページ範囲:P.696 - P.701
文献購入ページに移動妊娠時の高血圧治療に当たっては母体と胎児双方の安全な治療方針(降圧治療)と適切な分娩時期の決定がされなければならず,次に薬剤の選択とその使用方法が存在する.本稿ではまず,妊娠中に発症した高血圧,蛋白尿病態に対する管理指標を示し,そのうえで具体的な薬剤の特性と注意点を述べる.循環器病薬としての心不全治療薬,抗不整脈剤などの循環器内科領域薬剤は割愛した.
なお妊娠中毒症の用語は,2003年前半現在,診断基準を含め見直しが進められている.妊娠中毒症の用語が多くの病態,病型および複数の訳語として使用され混乱しており,あえてICD―10疾病分類に相当する訳語を本稿のみで使用した.すなわち,妊娠中に高血圧病態を発症する病態の総称として妊娠高血圧症病態(hypertensive disorders of pregnancy),その病型として,妊娠高血圧型(gestational hypertension : h型,H型に相当),妊娠高血圧+妊娠蛋白尿型(gestational hypertension with gestational proteinuria : hp型,Hp型,hP型,HP型に相当し,米国でのpreeclampsiaに相当)と記載した.また浮腫の有無は考慮していない.そして本稿における管理指標として記載した血圧の重症度は,米国合同委員会(JNC)第5次報告による高血圧分類に基づいて記載した.すなわち,
極めて重症 : 収縮期(sBP)210 mmHg以上
拡張期(dBP)120 mmHg以上
重 症 : sBP180~209 mmHg
dBP110~119 mmHg
中等症 : sBP160~179 mmHg
dBP100~109 mmHg
軽 症 : sBP140~159 mmHg
dBP90~99 mmHg
である.
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