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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科57巻6号

2003年06月発行

今月の臨床 ホルモン補充療法を再考する

HRTの適応を再考する

7.高脂血症

著者: 大濱紘三1 真田光博1

所属機関: 1広島大学医学部産科婦人科学教室

ページ範囲:P.812 - P.817

文献概要

はじめに

 欧米では虚血性心疾患は女性の死因の第1位を占めており,わが国においても生活習慣の変化もあいまって閉経以降の女性の動脈硬化性疾患が増加している.エストロゲンには女性の脂質代謝を調節する作用があり,そのためエストロゲンが消退する閉経後は高脂血症をきたしやすくなるが,ホルモン補充療法(HRT)はそのような閉経女性の血清LDLコレステロールを低下,HDLコレステロールを上昇させるなどして動脈硬化の発症を予防すると考えられていた.しかし今回のWomen's Health Initiative(WHI)の結果1)では,5.2年の時点でHRT群〔(結合型エストロゲン(CEE)0.625 mg+酢酸メドロキシプロゲステロン(MPA)2.5 mg〕ではコレステロールの改善効果が認められているにもかかわらず,プラセボ群に比して冠動脈疾患,脳卒中,静脈血栓症が増加することが示された.この報告は,動脈硬化性疾患の予防にはコレステロールの改善だけでなく,患者の背景やその他の動脈硬化危険因子への影響を考慮した対応が必要であることを示唆している.今回のWHIの結果を踏まえ,今後われわれ産婦人科医は,より安全で副作用の少ない管理法を確立していく必要がある.しかし,HRTの実施を全面的に回避して他の抗高脂血症剤でのみ対応するのは短絡的であり,HRTの内容の見直しや対象例の個別化を図ることによって解決すべきと考える.

 そこで本稿では,中高年女性の高脂血症に対して,HRTを実施する場合に留意すべき点や薬剤の種類,投与量,投与法などを中心にわれわれの考え方を述べてみたい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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