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今月の臨床 周産期の感染症―管理と対策 垂直感染の管理と対策
4.パルボウイルスB19
著者: 井浦俊彦1 牧野田知1 大島恵二1
所属機関: 1金沢医科大学産科婦人科
ページ範囲:P.51 - P.53
文献購入ページに移動伝染性紅班(erythema infectiosum : EI)は5~14歳の幼少期に好発し,5~6年の周期で冬から初夏にかけて流行する発疹性疾患である.この発疹の特徴は両頬に出現する蝶形紅斑であり,その様子が果実のリンゴを連想させることから「リンゴ病」とも呼ばれている.1983年にAnderson1)らにより,この病因がヒトパルボウイルスB19(human parvovirus B19 : B19)であることが報告され,妊婦に感染した場合に胎児死産例2)や非免疫性胎児水腫3)が発生することが報告された.わが国でも過去12年の全国患者報告数4)は,1992年の85,998名が最も多く,1994年の13,906名が最少報告数であった.非流行年では1.5~2.0万人前後の罹患数であるが,流行年では5万人以上の罹患を認めている.2002年の罹患数は58,371名であり,流行年であったと思われる(表1).B19感染による胎児水腫5)の発生も多数認められ,周産期感染症としてクローズアップされた.
本稿では,B19感染における臨床症状,診断法,胎内感染の問題点や感染妊婦の管理法などについて解説する.
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