icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科58巻1号

2004年01月発行

文献概要

今月の臨床 周産期の感染症―管理と対策 垂直感染の管理と対策

7.トキソプラズマ

著者: 関博之1

所属機関: 1関東労災病院産婦人科部長

ページ範囲:P.64 - P.67

文献購入ページに移動
はじめに

 トキソプラズマ感染時の臨床症状は,頸部リンパ節腫脹,易疲労感,発熱,咽頭痛など非特異的なもので,しばしば無症状の場合もあるため,妊婦がトキソプラズマ感染を自覚できない場合がある.したがって,妊娠中のトキソプラズマ感染を正確に診断するためには,トキソプラズマ抗体のスクリーニング検査が必要となる.

 妊娠中にトキソプラズマに初感染した場合,15~45%に先天感染が生じ,そのうちの約90%が顕性となって,新生児に脈絡網膜炎,髄液異常,水頭症,精神運動障害などの諸症状が出現する.小島ら1)は妊娠中に胎内感染が起こっても,妊娠中に治療を行えば顕性の児の発症を1/3以下に減少できると報告している.したがって,妊婦全例にトキソプラズマ抗体のスクリーニング検査を行うことができれば,先天性トキソプラズマ症の発症を減少させることが可能となる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?