icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科58巻1号

2004年01月発行

文献概要

連載 症例

子宮腺筋症の癌化と考えられた腺扁平上皮癌の1例

著者: 佐藤賢一郎1 水内英充2 塚本健一3 藤田美悧3

所属機関: 1新日鐵室蘭総合病院産婦人科 2みずうち産科婦人科 3みずうち産科婦人科 病理・臨床検査室

ページ範囲:P.100 - P.105

文献購入ページに移動
近年,卵巣チョコレート嚢腫の癌化が広く知られるようになったが,子宮腺筋症の癌化は稀な病態と思われており,報告例も散見されるのみである.今回,子宮腺筋症の癌化と考えられた腺扁平上皮癌(腺癌部分は低分化型類内膜腺癌)の稀な1例を経験した.症例は50歳,3経妊,2経産で,下腹部痛,腹部膨満,体重減少を主訴に,2002年(平成14年)8月7日に初診した.同年8月27日に診断的開腹術を施行したのち,TJ療法を行ったところ著効したため,2003年(平成15年)3月14日に二次的腫瘍減量術を施行した.開腹所見,病理組織所見より子宮腺筋症の癌化と考えられた.

一般的に,本疾患は術前診断が困難な場合があること,術後の病理組織診においても内膜より発生した体癌との鑑別診断が問題となる場合があること,予後についても同様に考えてよいのかなどの臨床的に重要ないくつかの問題点が存在するため,さらなる症例の積み重ねと知見の集積が望まれる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?