文献詳細
今月の臨床 ここが知りたい─婦人科がん化学療法
子宮頸がん
1.術前化学療法(NAC)は予後を改善するか
著者: 佐藤豊実1 沖明典1 吉川裕之1
所属機関: 1筑波大学大学院人間総合科学臨床医学系産婦人科
ページ範囲:P.1212 - P.1215
文献概要
子宮頸がんの治療は手術療法および放射線療法が中心である.本邦の標準治療は,I,II期症例には手術療法を先行させ,リンパ節転移などハイリスク症例には術後に全骨盤照射を行い,III,IVa期症例には外照射と腔内照射を組み合わせた放射線療法を行うことである.I, II期で径4 cm以上のbulky症例やIII~IVa期症例には,放射線治療単独に比べて,化学放射線同時併用療法(concurrent chemoradiation)が勝ることがランダム化比較試験(randomized controlled trial : RCT)で示されており,本邦でもIII~IVa期に対しては,そのevidenceに基づく治療が普及しつつある.しかし,本邦では,I, II期bulkyに対して元来手術療法が主体であったため,このevidenceを臨床現場に取り入れることは難しい状況がある.その意味で,本邦では広汎性子宮全摘出に術前化学療法(neoadjuvant chemotherapy : NAC)を取り入れるべきかどうかは,I, II期bulky症例の治療にとって重要な課題であり,このいずれかとconcurrent chemoradiationと比較することも将来大きな課題となると思われる.
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