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今月の臨床 症例から学ぶ前置胎盤 症例から学ぶ
5.嵌入前置胎盤を伴った峡部頸管妊娠(isthmico─cervical pregnancy)の1例
著者: 新田律子1 斉藤麻紀1 大久保貴司1 斉藤正博1 竹田省1
所属機関: 1埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センター
ページ範囲:P.1344 - P.1349
文献購入ページに移動帝王切開の増加に伴い,以前はあまり問題にされなかった帝王切開創部に関連する合併症が注目されている.帝王切開創部妊娠や癒着胎盤は,大量出血から母体死亡につながるため,その診断,管理は重要である.
一方,産褥子宮摘出の頻度は,出生1,000に対して約1.5程度といわれている.産褥子宮摘出の最も高いリスク因子は帝王切開手術であり,母体にとって「帝王切開が安全だ」とは決していえない.米国での成績では,帝王切開後の子宮摘出は出生1,000に対して8.3である.また,産褥子宮全摘術を受けた症例の94.5%は今回帝王切開で分娩しており,66.7%は帝王切開既往症例である.このため,帝王切開既往例の分娩法を説明する際や帝王切開術のリスクを説明する場合は,この点にも配慮する必要がある.
今回,前2回帝王切開既往妊婦が,前置胎盤による大量出血で帝王切開となり,内腸骨動脈結紮にてようやく止血したが,産褥27日目に再出血し子宮摘出術を余儀なくされた症例を経験した.病理診断より峡部頸管妊娠(isthmico─cervical pregnancy)と判明したので報告し,その病態,管理につき考察する.
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