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今月の臨床 症例から学ぶ子宮内膜症─子宮内膜症を侮るな 症例から学ぶ
2.骨盤子宮内膜症の腫瘍化―卵巣と卵巣外,上皮性と非上皮性
著者: 片渕秀隆1 岡村均2
所属機関: 1熊本大学大学院医学薬学研究部総合医薬科学部門生体機能病態学講座婦人科学分野 2熊本大学大学院医学薬学研究部先端生命医療科学部門成育再建・移植医学講座産科学分野
ページ範囲:P.1444 - P.1447
文献購入ページに移動子宮内膜症は,性成熟期の女性を中心に発生し類腫瘍に分類される良性疾患であるが,1925年のSampsonの報告1)以来,上皮性卵巣がんをはじめとする骨盤内腫瘍の発生母組織の1つでもある.一方,ここ数十年,日本人女性のライフスタイルの変化,また検査法や診断法の進歩も相俟って子宮内膜症の増加が指摘されている2).そのなかで,婦人科腫瘍学という点からみると,子宮内膜症に由来あるいは関連する骨盤内の腫瘍が増加傾向にあり,かつ多様化している印象を臨床の場で受ける.
子宮内膜症はチョコレート嚢胞に代表されるように卵巣に多く認められるが,ほぼ同じ頻度でダグラス窩,仙骨子宮靱帯,直腸や膀胱の腹膜にも観察され,組織学的には一般に子宮内膜に類似する腺管と間質から構成されている.そこで,子宮内膜症を母地として発生する骨盤腔の腫瘍を考えるとき,マクロでは卵巣と卵巣外,ミクロでは上皮性と非上皮性として捉えられなければならない.本稿ではわれわれが経験した症例を通して,子宮内膜症から発生する上皮性卵巣がん,卵巣以外の骨盤子宮内膜症に由来する上皮性腫瘍と非上皮性腫瘍について述べる.
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